ちなみに、このフラッグシップ機の歴史は、そのまま日本国政府専用機の沿革と同じ流れを取る。それ以前はJALやANAの機体をチャーターする形態であったが、専用機として1993年からボーイング747-400が投入され、2019年からはボーイング777-300ERに変更された。民間で長く運航する機体は自衛隊が管理する要人輸送に使いやすい。
新機種のファーストクラスはJAL初の個室、ゆったり仕様
これからJALのフラッグシップ機になるA350-1000のファーストクラスはどのようなものになるのか。最前方に位置し、計6席の個室空間になる。従来に比べ40cmほど横幅が広がったこともあり、仕様が発表されたときには驚きをもって迎えられた。
ベッドになるシート幅は約123cm。これはエコノミークラス46cmの約3倍でセミダブルのベッドサイズほどになる。さすがに足元のサイズは絞られているものの、上半身部分は大人2人がゆったり座れるサイズになるどころか、オットマン部分にもう一人座り3人で過ごすことさえできる広さだ。
他には、足元には機内サイズのスーツケース2台を収納できるスペースがあり、上着や靴を置けるワードローブも用意されている。また、ヘッドセットを着用せずともヘッドレストに内蔵されたスピーカーで音声を楽しめる。空の上のシアタールームだ。機内用のリラクシングウェアを使用すれば、極上の空の上のベッドにもなる。
機内食に関しては、専用メニューは発表されていないが、従来の「BEDD」と称する世界で一番贅沢なレストランのメニューに磨きがかかるのだろう。アルコール飲料ではシャンパーニュサロン2013が提供されており、ワイン通をうならせている。
ANAを追うJALには絶好の機会
過去にユニークなサービスを展開してきたJAL。海外に出掛ける時にはぜひとも利用してみたい航空機が導入されることになった。コロナ禍で打撃を受けた航空業界がよみがえる、いい時期に投入されることになったと思う。
日本一の輸送力をANAに奪われたものの、いまも最大の競合関係が続いている。JALのおもてなしは、こうした歴史とライバルの存在によってさらに磨きがかかるものと期待したい。