これ以降、ボーイング777-300ERが出現するも、41年間もジャンボジェットはフラッグシップとして君臨した。胴体だけでなく、すべてにおいてビッグな機体だった。
ニューヨークに直行する専用機が就航
1983年にはボーイング747の長距離バージョン「-200B型」で、東京からニューヨークへ直行できる専用機「エグゼクティブエクスプレス」が就航した。
当時のパンフレットには、速達の様子を「日航ニューヨーク・東京新幹線」などと紹介されている。ファーストクラス44席、Jクラス(当時のビジネスクラス)128席、エコノミークラス114席の計286席の余裕あるシート配列が話題になった。
この成功を機に、1985年にはエコノミークラスを廃止するオール上級クラスの747も出現した。ファースト44席、エグゼクティブクラス204席計248席のみの仕様も完成した。1990年には、ボーイング747-400が登場し、長距離路線のノンストップ便が当たり前のように市場に定着した立役者がこの機体だ。フラッグシップに磨きがかかったといえよう。
1991年3月にはワシントンD.C.線に3カ月の期間限定ながら「JAL寿司バー」サービスを始めた。機内で握りたての寿司が食べられるとは、何とも贅沢な経験だ。ファーストクラスの機体前方向けに配膳台が備え付けられ、2人の板前が腕を振るった。ジャンボジェットならではの機内の余裕の配置である。
2000年代になると、航空機に求められるものが、大量輸送や超音速機などの速度と比較して燃費効率化などの方向に進んでいった。
進む機材の世代交代
2004年には、同年内にJALもANAとともにボーイング777-300ERを国際線に投入開始している。同機に加えてボーイング747-400の2機種がフラッグシップとして日本と世界を結んだ。先に導入が開始されて燃費効率の悪い4発エンジンのジャンボジェットは先に退役する。これを加速させたのは、今回の主人公であるJAL自身だ。
2010年の経営破綻でボーイング747-400を全機退役させることを決定し、最終機は2011年10月19日にその役目を終えた。以降、現在までの12年間はコロナ禍も含め文字通りボーイング777-300ERが最重要路線で用いられた。
現在のファーストクラス「JALスイート」は2013年から導入されている。このシートこそ、今年中に導入される予定のA350-1000に装備されるファーストクラスシートの原型と言える。
当時のパンフレットには、「デザインしたのは、居心地というレベルを超えた、住み心地。お客様が空の上であることを忘れるような『住まい』を目指しました」と書かれている。書斎、寝室のような木目調の上質な空間に快適なテンピュールの寝具が用意されていた。