ハイブリッド型雇用なら役職定年制度は不要

話題を役職定年に戻そう。私は、ハイブリッド型雇用において役職定年制度は不要と考えている。誰もが40代前後には一人前のキャリア自律を目指すのだから、ごく限られた役職ポストに就くことのみを「出世」の目標とする、単線型のキャリア観を持つ必要はない。

前川孝雄『部下を活かすマネジメント“新作法”』(労務行政)

また、仮に管理職に就くとしても、自身の専門性を磨き続けるキャリアの途上の通過点と考えるのだ。「上司とはチームメンバーの活躍を支援する役割」と考えればよい。また、役職への登用や退任を、年齢基準で判断する必要もない。本人にも組織にも適職なら、20代の上司も70代の上司も、いずれもあってよいはずだ。

どの世代・年齢であっても、組織のビジョンに共感しながら、自律的なキャリアを磨きつつ、お互いを認め合い、イキイキと働ける職場であることが、これからの人的資本経営時代に求められる姿といえるだろう。参考として、「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書(人材版伊藤レポート2.0)」(経済産業省)が提唱する今後の人事戦略を展望する概念図を示しておく(図表4)。

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