上司が鍛えるべきは「ファシリテーション力」

部下一人ひとりがお互いの役割を理解し、共に目標に向かって取り組む組織体制が整っても、日々仕事の進捗を共有したり困り事を相談したりしにくい状態では、職場は“たこつぼ化”しがちだ。一人ひとりが自分の仕事にのみ没頭するだけでは、せっかくの組織図も画餅になりかねない。

そこで上司には、日頃から仲間意識を高め、情報交換や報連相を促すことが求められる。鍛えておくべきことは、ファシリテーションの技術だ。

前川孝雄『部下を活かすマネジメント“新作法”』(労務行政)

例えば、会議や定例ミーティングなどでは参加者全員に発言を促し、参加意識の醸成と発言したくなる雰囲気づくりに気を配る。上司の考えや発言に対し、部下一人ひとりがどう考えているか質問し、さらに部下同士の意見交換に導くこともよいだろう。また、1人で悩んでいそうな部下がいたり、チーム内や部署間で連携すべき課題が見えたりしたら、関係を取り結ぶ介入も積極的にしたい。部下たちに、持ち回りで会議の司会役を任せるのも効果的だろう。上司だけが仕切るより、互いに発言しやすい雰囲気になりやすく、司会役の当事者意識も高まるからだ。

このように、上司は職場の“たこつぼ化”を防ぎ、活気あるチームをつくることで、仲間と共に良い目的の実現に向けて働いているという意識を高めることが大切だ。これは組織エンゲージメントの向上にもつながるものだ。

上司には飲みニケーションのみに頼ることなく、ファシリテーションの技術を磨き、それを発揮することで、本来業務の中でチームワークを高める役割が求められるのだ。

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