成功するために必要なものは何か。医師・岩田健太郎さんは「どうしたら失敗するのかを熟知することこそ、成功への最良の方法だ。しかし日本のお役所仕事には成功の条件が設定されないままプロジェクトが始まることが多い。成功したか失敗したか総括しないままに、『仕事をした』ことになる。マイナカードはそのよい事例だ」という――。
日本海総合病院を訪れ、マイナンバーカード受付専用機を視察する岸田文雄首相(左から3人目)=2024年5月19日、山形県酒田市[代表撮影]
写真=時事通信フォト
日本海総合病院を訪れ、マイナンバーカード受付専用機を視察する岸田文雄首相(左から3人目)=2024年5月19日、山形県酒田市[代表撮影]

マイナンバーカードにビジョンなし

日本の役所は成否を吟味しない。いろいろなプロジェクトを立ち上げるが、「成功の条件」が明示されることはほとんどない。したがって「絶対に失敗しない」。そのプロジェクトが「成功したか」「失敗したか」を総括しないのだ。

仮に「総括」したとしても、「それなりに成果はあった」という詭弁を用いて終わりだろう。アウトカムを設定していない以上、「それなりにがんばった」と言うだけで成功したふりはできるから。