現状を3割減、未来を3割増で考える

現状維持は生物の本能ですが、私たち人間には、生き延びるだけではなく、よりよく生きたいという欲求があります。そのためには現状維持バイアスを意識的に外す必要があります。

行動経済学の実験では、私たちが持っているものに対して感じる主観的な価値は、実際の価値の約2倍になることがわかっています。そのため何かを変えようとしても、現状がよほど悪くなるか、新しい選択肢が魅力的なものでない限り、なかなか踏み切れません。

勝間和代『勝間式 超ロジカル選択術』(SBクリエイティブ)

物事を選択するときには、このことを加味する必要があります。つまり「現状は3割増・未来は3割減」に見えるので、現状を3割減、未来を3割増で考えるほうが、フラットな比較ができるということです。

生物は本能で危険を察知することしかできませんが、私たち人間は、将来起こり得るリスクを予測し、備えることができます。これは「計算されたリスク」(calculated risk)といい、リスクマネジメントの基本です。

もしブラック企業を退職するかどうか迷っているのであれば、退職した場合のリスクを計算します。自分が生きていくためのミニマムコストを算出し、現在の貯金や自分のもつスキル、仮に無収入になった場合、何カ月間なら食べていけるかということをすべて定量化します。もし半年、1年は暮らせるだけの貯金ができれば、一気に選択肢が増えます。よりよい人生に向けてリスクをとれるようになるのです。

関連記事
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"
新NISAが始まっても投資に手を出してはいけない…経済学者が「老後に備えるならコレ」と唯一勧める金融商品【2023上半期BEST5】
なぜか相場よりも家賃が安い…筑波大卒27歳ライターが「歌舞伎町ヤクザマンション」に住んでみた
「今から行くから待ってろコラ!」電話のあと本当に来社したモンスタークレーマーを撃退した意外なひと言
配送ドライバーが年収2500万円超に…日本で働くのがバカバカしくなる"アメリカの賃上げ"のすごさ