「志望大学に入りたい」「痩せたい」は、願い事とはいえない
そこで、まずは自分の目標や夢をはっきりとさせましょう。
このとき大事なのは、自分なりの「しあわせのものさし」で測った目標や夢を設定すること。一般的な価値観や他人の意見を鵜呑みにした夢や目標になっていないかを確認しましょう。
また、その目標や夢を現実的なものに落とし込むことも大切です。
目標や夢が非現実的なものであると、脳はこのことに反応します。あまりに非現実的なものであると、うまく動機づけできなくなってしまい「やる気」が起こらなくなってしまうのです。
よってあまりに非現実的な目標や夢は、少し現実的なものへとレベルダウンさせましょう。
たとえば「江戸時代に行きたい」という夢は非現実的ですが、「江戸時代と同じような食生活がしたい」「江戸時代の書物に囲まれて暮らしたい」などの願いは現実的です。
また、手段と目的を間違えないようにすることも大事です。
「宝くじが当たりますように」「志望大学に入れますように」「もっと痩せますように」などは、願いごとの王道といえるかもしれませんが、実はこれらは願いごととはいえません。お金や学歴、スタイルは目標や夢を叶えるための手段にすぎないのです。考えるべきはその先です。何のために宝くじを当てたいのか、何のためにその大学に入りたいのか、何のために痩せたいのか。そこをはっきりさせるのです。
目標や夢が明確になったら、それを常に頭のどこかで意識しておきます。
といっても、脳は「忘れやすい」性質があるので、忘れないためにも「紙に書いておく」という方法も有効です。
人は「報酬を期待しているとき」に快を感じる
よく、目標や夢は紙に書いておくと実現しやすい、といわれます。手に入れたいものがあったら、その写真や絵を身近なところに貼っておくといい、ともいわれます。
ここにも実は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが関係しています。ドーパミンは、人がしあわせや喜びを感じると分泌されます。
目標や夢を書いた紙や、欲しいモノの写真を眺めるとき、人の脳は自然とその目標や夢が実現したとき、欲しいモノが手に入ったときのことをイメージします。
たとえば新しい洋服が欲しいと思いながらファッション雑誌を眺めているとき、自分好みの洋服が載っているページがあると心が浮き立つ感じがあります。これは、脳がその洋服を手に入れたときのことをイメージして、喜びを感じているのです。
実は脳には、報酬を期待しているときこそ快を感じる、という性質があります。その快感は、報酬が実際に得られたときと同等か、それ以上になります。そしてその快感が人を動かすのです。
紙に書いた目標や夢を見たときも同じで、脳が実現後をイメージすると快を感じてドーパミンが分泌されます。そして「やる気」にかかわるドーパミンは、目標や夢の達成のための行動を促すのです。
目標や夢を紙に書いたら、頻繁にその紙を眺めるようにしましょう。紙を見なくても、自然と目標や夢の実現後をイメージできるような状態になるまで眺めつづけるのです。
これである日突然、宝くじが当たっても安心です。使い道はすでに決まっているのですから……。