“グレーの街”を塗り替えた駅ビル
唐池が初めて外食事業を担当したのは93年。当時外食事業部は赤字だったが、唐池は3年で黒字へと転換させ、ジェイアール九州フードサービスとして分社化し、立ち上げる。その後、再度赤字化したところで再び出向した。
「行ったときに社員は元気なく、自棄な感じだった。元気にするには、そりゃ儲かって黒字にするしかない。利益を出すことを最大の目標として突き進めばいいから簡単な話なんです。ところが、黒字化という目的を達成すると、次がない。だから、よし、今度は東京進出が目標だと切り替えたんです」
こうして02年に誕生したのが東京・赤坂の和食店「うまや」だった。唐池が築いた礎のもと、うどん屋、ラーメン屋、レストラン、そして国内に14店舗を数えるまでになった「うまや」、と拡大の一途を辿っている。2年前には、上海事務所を設立し、中国に進出。12年春、1億3500万円を投じて、「赤坂うまや上海静安本店」をオープンさせた。今後も上海市内での店舗数拡大を目指す。
現在、外食部門の売り上げは、約45億円にまで伸長している(10年度)。
11年3月12日の九州新幹線全線開業に先がけて3月3日に博多駅にオープンしたJR博多シティもまた好調だ。JR九州としては、建築費用だけで約600億円もかけた一大プロジェクトだった。地上10階地下1階のビルには、900もの店が出店、うち、170店舗を超える店が九州初進出である。
福岡にはすでに天神という一大商業圏があった。ゆえに、「色にたとえればグレーのイメージ」とまで言われていた博多駅で商売が成り立つのかと計画当初はいぶかる声もあった。1日の乗降客にしても、新宿駅の350万人に対し、博多駅は35万人と10分の1の規模なのだ。