副詞「けっこう」を使うと解釈にズレが生じる
もちろん、学術論文のように厳しいジャンルはまれであり、普通に書くときに程度副詞を使っていけないわけではありません。程度副詞は、実感を込めて程度の甚だしさを伝えられ、読み手の共感を得やすい表現です。ただ、程度副詞を使うと、どうしても、読み手によって解釈にズレが生じやすいこと、書き手の主観を一方的に押しつけがちなことは、理解して使う必要があります。
そうした解釈のズレがとりわけ問題になりやすいのは、ビジネス文書です。ビジネス文書で、使うと理解に支障をきたしやすい副詞にはどんなものがあるでしょうか。
「だいたい」と言われると、正確な数字が知りたくなる
ビジネス文書で使わないほうがよい副詞の第一は、「だいたい」「おおむね」「あらかた」など、大雑把な把握を示す副詞です。
採用者はなぜ「だいたい」と書いたのでしょうか。正確に400字以内でなくても目をつぶるつもりなのかもしれませんし、充実した内容であれば400字を超えてもかまわないという積極的な意味かもしれません。しかし、応募者は採用者の意図がわからないので、どう書いてよいか戸惑います。「だいたい」はないほうが無用の混乱を避けられます。
「おおむね」という副詞も、報告された側としては気になる表現で、「おおむね」とわざわざ入れた背景が知りたくなりそうです。些細なものであるとしても、何か問題があるのなら、それも添えて示したほうがよいでしょう。
「あらかた」も、100%ではないので、あなたが上司の立場であれば、完成度が何%ぐらいなのか、未完成の部分はどんな内容なのかがきっと気になるでしょう。副詞を入れる場合は、なぜその副詞をあえて入れるのか、その理由も合わせて示すことが求められます。