「ある程度」の超過勤務はサービス残業の温床になる

ビジネス文書で避けたい副詞の第二は、「相当」「そこそこ」「ある程度」のような、中途半端な程度を示す副詞です。

円安の進行と原材料価格の高騰により、コストが相当高くなることが予想されます。

未来のことは誰にもわからないので、将来的なコストの予想は難しいのですが、「相当」では情報提供になっていません。「三割から四割程度」のように数値の目安を入れるように努力する必要はあるでしょう。

給与はそこそこお出しできると思います。

ヘッドハンティングにあったとき「給与はそこそこ」と言われたら、その会社に移りたいと思うでしょうか。転職には自分と家族の生活がかかっており、かなりの覚悟が必要です。具体的な金額を示さずに「そこそこ」と言われると、言われた側は疑心暗鬼になるかもしれません。具体的な金額を示す必要がありそうです。

業務上必要であれば、超過勤務はある程度認めるようにしています。

超過勤務は会社にとってはコストがかかりますので、できれば抑制したいものかもしれません。しかし、「ある程度」と言われると、どこまでが認められて、どこからが認められないかがあいまいです。業務過多のなか、仕事を終わらせようと残業をしたとしても、それが認められずにサービス残業になる危険性を「ある程度」ははらんでいます。超過勤務が必要になるレベルの業務量があるのならば、「ある程度」の基準を明確にすることが求められるでしょう。

オフィスの机に突っ伏して寝ている女性
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「やや」「若干」「多少」もビジネスでは避けるべき

ビジネス文書で避けたい副詞の第三は、「やや」「若干」「多少」「こころもち」のような、少しの程度を表す副詞です。

締切が前倒しになったので、優先順位をやや上げてください。

「やや」というのは、ビジネスの業務指示には向かない表現です。「優先順位をやや上げて」ではわかりません。もちろん、相手の業務量や多忙さへの配慮もあったのでしょうが、いくつもある業務のなかで「やや」と言われても、言われた側はどこまで順位を上げたらよいか、戸惑います。どの仕事との比較で何番目に優先するかを明確に指示すべきでしょう。

品薄ではありますが、在庫は若干ございます。

「若干」というのは書き手にとって便利な言葉です。本来は2~3、多い場合は4~5を指す言葉ですが、人事の採用の場合、基本的には1名だが、よい人がいれば2名採用するというケースもありますし、反対に、10名近く採用することもあります。つまり、「若干」は「書き手にとって都合のよい人数」という意味なのです。