たんぱく質の摂取量と健康には因果関係がある

「朝からそんなには食べられない」などと言わず、朝も昼も晩も、3食きちんととってほしいのです。とくに朝食は最重要です。多くの人が、前日の夕食から朝食まで夜間の10〜12時間程度絶食していることになります。そのため朝は低血糖になりがちです。

朝の低血糖を、昼や夜に補おうとすると、血糖のバランスが崩れ、1日の血糖値が乱高下することになってしまいます。80歳をすぎても体がしっかりしていて顔の色つやもよく、声にもはりがある方は、朝食をきちんととっています。しかも「朝からステーキを食べています」という人も珍しくありません。朝からたんぱく質をとると、1日の活力源になります。食べれば元気が出て、動くことができ、その結果として筋肉がつくのです。

牛乳や乳製品はたんぱく質強化に有効です。たとえば汁物やおかずにスキムミルク大さじ1杯(10g)を混ぜる方法もあります。それだけでたんぱく質3g増になります。

2020年に発表された厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、初めて高齢者のサルコペニア・フレイル予防とたんぱく質摂取の重要性を明確に指摘しました。それによるとアメリカの研究では、たんぱく質の摂取量を20%増やすとフレイル発症率が30%下がることが予想されると言います。また、日本の65歳以上の女性を対象とした研究では、たんぱく質摂取量が1日70g以上のグループは、1日63g未満のグループと比べてフレイル発症率が有意に低かったとしています。

こうしたことからサルコペニアを予防するにはたんぱく質の摂取が重要であり、高齢者ほどたんぱく質必要摂取量が多くなることがわかります。

サラダチキンや魚などがオススメ

健康な高齢者に推奨される体重1kgあたりのたんぱく質摂取量は、ヨーロッパでは1.0〜1.2g、アメリカでは1.0〜1.5gです。体重1kgあたり1日1.5gのたんぱく質を摂取した高齢者は、0.8gを摂取したグループと比べて下肢身体能力が有意に高いという報告もあります。

こうしたことを考えると、65歳以上のギアチェンジ期に入ったら、たんぱく質は少なくとも体重1kgあたり1.0g。できれば1.5gを目安に摂取することが望ましいと言えます。とはいえ、誰もが朝からステーキをぺろりといけるわけではありません。高齢になるほど、消化力が落ち「肉なんて胃もたれして食べられない」と言う人もいるでしょう。

牛肉で胃もたれするなら魚や鶏のささ身、胸肉など脂肪分が少ないたんぱく質食材がお勧めです。スーパーやコンビニで売っているサラダチキンも低脂肪高たんぱくの代表的な食材です。

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