フリースクールや適応指導教室とどこが違うのか

授業は、1日4コマ。総合的な学習の時間では、自分のやりたい学びに集中することができます。下校時間は14時35分ですが、16時まで残って自主学習することも可能です。下校前に、クールダウンという面談の時間をとり、タブレットに今の気分を入れてから下校します。登校時と下校時の気分を入力することで、随時生徒の様子を職員全体で把握します。

これが草潤中の概要です。

撮影=中曽根陽子
校長手作りのサインボード。教室の名前も「森」「川」「海」

ところで、フリースクールや適応指導教室との違いはどんなところなのでしょうか。今回の取材を踏まえ、整理してみました。

不登校特例校は、学校に通えない子供に教育の機会を確保するために作られた点が、その他との大きな違いです。授業時数は通常の学校より少なく設定されていますが、卒業時にその学校の卒業資格が得られ、進路書類も発行されます。

大人の関わり方が変わることで、生徒が短期間に変化

草潤中では、初年度は3学年生徒40人でスタート。その他に、在籍校に籍を置いたまま週1回50分個別学習支援を行う通級支援25人と、オンラインで指導を週2回1回20分学習支援するオンライン支援25人を受け入れました。1年半経って、生徒たちはどんな様子なのでしょうか。

初年度の卒業生は全員が高校に進学。登校率は、1年目が出席および出席扱い合わせて85.4%になりました。こう書くと登校を目指しているようですが、決してそうではなく、結果こうなったということです。

通級指導を担当する教員は、生徒の変化について次のように話してくれました。

「これまで人と関わる経験が少なかった子供たちが、この学校に来て、ひとつずつ経験を重ねる中で、変わっていく様子を目の当たりにしてきました。学校に行けなかった子供も、本音のところで人とつながりたいと思っています。ダメ出しをするのではなく、いいところを見つけて励ましてあげるうちに、子供たちは短期間で成長していきました」

実際、生徒たちの発案で全校行事を企画し、自分たちで旅行社と交渉して実施したり、新入生歓迎音楽会を開催したり、それ以前は、学校に来ることが困難だった生徒たちの変化に教員も驚かされたそうです。

撮影=中曽根陽子
陶芸用の電気釜も完備