学校に行けない児童・生徒に配慮し、学習指導要領にとらわれない教育課程をもつ「不登校特例校」。まだ全国10都道府県に21校(うち公立12校)しかないが、開校1年半で視察が殺到しているのが岐阜市立草潤中だ。授業は自宅でオンラインでもOKだが、登校率は85%超。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんが現地取材した――。
開校1年半で100件の視察が殺到する岐阜の小さな学校
全国の小中学校で2021年度に不登校だった児童・生徒は前年度から24.9%増え、過去最多の24万4940人。初めて20万人を超え、98年連続で過去最高を更新しています。そんな中、政府は、全都道府県・政令市に「不登校特例校」の設置を目指す方針を固めました。
不登校特例校とは、児童生徒の事情に合わせて、授業時間や学習内容を減らせるのが特徴で、2017年施行の教育機会確保法で、国や自治体による設置が努力義務とされました。しかし、文部科学省によると、2022年4月現在、財政的な制約などから、その数は、10都道府県の21校(うち公立12校)にとどまっています。
そんな中、2021年4月に東海地方初の公立の不登校特例校として、岐阜市立草潤中学校(全校生徒40人程度、教職員27人)が開校しました。これまでの学校という枠の中で自分の才能を生かせなくて学校に行けなかった生徒、不登校を経験した生徒のための学校です。
実は、後述する同校の画期的な取り組みが注目され、開校以来、この公立中には全国から問い合わせが集中。この1年半で約100の自治体や教育委員会などが視察に訪れています。これほど関心を集めるのは全国的にも異例なことです。
この9月、私も、現地でその様子を取材しました。