「エッセルスーパーカップ」の購買層は中高年
まず、現在の状況をメーカーに聞いてみた。
「『エッセルスーパーカップ』は、ブランドとして年々拡大を続けています。発売時からレギュラーサイズは200mlという大容量。「でかい・うまい・やすい」の3拍子を掲げ、主に中学生・高校生向けに訴求しました。現在は購買層も広がり、200mlは2022年9月中旬で累計販売個数60億個を突破しました」
同ブランドを担当する明治の吉岡征史さん(マーケティング本部 フローズン・食品マーケティング部 フローズンデザートグループ)はこう説明する。
コアターゲットが中学・高校生なのは現在も変わらない。ちなみに筆者の知人の男性カメラマンは、「発売時は中学生で、野球部の部活後にみんなで食べていた」と話していた。
だが、アイスは「子供のおやつ」から「大人のデザート」に変わった。
いくつかの理由があるが、まずはメーカーや流通の仕掛けた販売戦略が当たったこと。
たとえば、秋冬向けに濃厚なアイスを開発して需要を取り込み、暖房の効いた部屋で楽しむ「冬アイス」という言葉も生まれた。
また、その昔は各地の小学校近くにあった駄菓子屋も減り、子供とアイスの出合いの場所も変わった。エッセルの場合、現在はスーパーなど量販店の売り上げが6~7割、残りの3~4割がコンビニだという。主要購買層は中高年が中心だ。
2021年度も首位を堅守
業界の専門メディア「アイスクリームプレス」の調査では、エッセルスーパーカップは2021年度のブランド全体(「超バニラ」「抹茶」「チョコクッキー」の定番3品+シリーズ品)の売上金額は約275億円。今回は2位との差をさらに広げた。ちなみに(かつての取材時)2013年度の同調査でのエッセルは約190億円、8年で85億円も上乗せしたことになる。
図表1が売れ筋トップ3だ。これ以外に「ハーゲンダッツ」(ハーゲンダッツジャパン)があり、2021年度は528億円(前年比110%)だったが、別枠扱いとなっている。
2021年度の取り組みについて、吉岡さんに聞いてみた。
「定番の中で最も人気が高い『超バニラ』は、商品への手堅い支持に加えて、2021年度下期に、人気ゲームアプリ『モンスターストライク』とのタイアップを実施したことで、新たなユーザーを多く獲得しました。また、2022年度上期も『トミカ・リカちゃん』とのタイアップなど、ファミリー層へのコミュニケーションを強化しています」
さらに、「以前から取り組むアレンジ提案も功を奏しています」と話す。「アレンジ提案」とは、コロナ禍の巣ごもりで、消費者がアイスを食事やお菓子づくりの素材で使うシーンが拡大し、メーカーも注力する取り組みだ。