家庭用アイスクリームは、毎週のように各社が新作商品を発売する激戦市場だ。だが、年間売上高で上位に名を連ねるのは決まってロングセラー商品ばかり。経済ジャーナリストの高井尚之さんは「上位のうち7ブランドが発売40年を超えるベテラン勢だ。定番が売れるのには3つの理由がある」という――。
コンビニのアイス売り場。毎週のように新商品が入れ替わる=2021年6月
筆者撮影
コンビニのアイス売り場。毎週のように新商品が入れ替わる=2021年6月

毎週新作が出るのに、売れるのは“定番”ばかり

毎週のように新しい商品が出る「アイスクリーム」――。新商品がいち早く出回るコンビニで、それを探す消費者も目立つ。アイスマニアの中にはSNSで新作アイス情報のアカウントをフォローし、情報収集に余念がない人もいる。

こうした人気も反映し、全国の小売店で買える家庭用アイスの新商品は年間約250種類に上るという。

だが「限定品」で発売され、一定期間が過ぎれば販売終了となる商品も多い。中には人気爆発で、いち早く終売となる商品もある。限定商品は話題性も大きいのだ。

そんな状況も手伝い、売れ筋アイスはロングセラー商品ばかりとなっている。

なぜロングセラーが強いのか。人気ブランドの横顔を紹介し、消費者心理も考えた。

スーパーカップ、ジャンボモナカ、パピコ…と定番がずらり

同業界の専門メディア「アイスクリームプレス」の調査によれば、2020年度の上位ブランドと年間売上高は別表のとおりだ。市場の拡大を反映し、以前より売上高100億円前後の“メガブランド”も増えた。

2020年度の売れ筋アイスランキング
(注)2020年4月~2021年3月 出所:「アイスクリームプレス」推計

ここでは売上高80億円以上のブランドを紹介したが、多くの人が「一度は食べたことがある」名前がずらりと並ぶ。これ以外に別枠1位で「ハーゲンダッツ」(ハーゲンダッツ ジャパン)があり、2020年度のブランド全体の売上高は約480億円となっている。

別枠1位に「ハーゲンダッツ」
ハーゲンダッツジャパンの発表を基に筆者作成