※本稿は、柴田重信『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』(ブルーバックス)の一部を再編集したものです。
朝食にはインスリンの分泌を促しやすいものを食べるといい
本格的な時間栄養学の話に入る前に、身近な食べ物を例に、摂る時間と体の反応について簡単に解説してみたいと思います。そこに体内時計という、体の機能が関係しています。体内時計とは24時間より少し長い周期を持つ、時間を司るしくみです。
身近な食べ物としてあげたいのは、まずはカレーです。カレーは、子供から大人まで、大好きな食事メニューです。子供の頃、余分に作られ一晩寝かされたカレーを朝食べたときには、何ともいえないくらいおいしかったと記憶しています。また、かなり前の話ですが、人気スポーツ選手が朝カレーを食していると話題になり、「朝カレー」という言葉を一時よく耳にしました。
一方、「深夜のラーメン」もなかなか魅力的な響きでしょう。残業、あるいは、お酒の後の締めのラーメンにはそそられるものがあります。
この2つのメニューに共通していることは、いずれも朝や夜という時刻を述べていることです。
これが時間栄養学につながることであり、ここではその視点で、朝カレーと夜ラーメン、どちらが健康的に優れているか、そしてその根拠を述べてみたいと思います。
カレーは一般的にご飯にカレールーをかけたものですから、そのご飯について、まず朝食で摂ると体にどう作用するかという点について考えてみましょう。ご飯のデンプン質が消化されるとブドウ糖(グルコース)に分解されます。このブドウ糖が血糖値にかかわるインスリンの分泌を引き起こします。もともと24時間より長い体内時計の周期は、油断していると夜の方に引きずられがちなのですが、朝ごはんにインスリンの分泌を促しやすいものを食べると、体内時計に「朝ですよ」と教えることに大いに役立つのです。