香辛料で活動開始の準備が整う

香辛料はどうでしょうか。唐辛子成分のキャプサイシンは、体内時計の時計遺伝子の発現に影響を及ぼすことが知られています。黄色成分のウコンなど、体内時計との関係がよくわかっていないものも多いのですが、キャプサイシンが豊富な辛いカレーを食べると汗をかくことからわかるように、香辛料は交感神経を興奮させます。

ちなみに交感神経とは、副交感神経と共に、全身の臓器や血管などをコントロールする自律神経です。交感神経は、活動時や緊張状態で活発になり、副交感神経は、夜やリラックスしているときに優位になります。朝カレーでは、副交感神経が主に働いていた夜から朝にかけて交感神経が働くように変わっていく時間帯となるので、香辛料で交感神経が活発になることは、血圧を上げ、脳を活性化させ、体温を上げるなど、活動開始の準備状態を導くのに大いに役立ちます。

また、食事で体が温まる「食事誘発性熱産生」というしくみがあり、体温が上昇します。この熱産生は、同じ食事を夕方に摂ったときより朝に摂った方が大きく出現します。つまり朝食では体温を上げるためにカロリー消費が起こり、抗肥満効果が期待できるのです。また、食事内容によって食事誘発性熱産生の量が違うことがわかっており、研究結果から、熱産生はタンパク質を摂ったときが大きく、次に炭水化物で、脂質の関与は小さいと考えられています。

テーブルの上の食器
写真=iStock.com/t_kimura
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以上のことから、朝カレーは朝食としてまったく問題なくおすすめの食事といえます。さらに、朝は体温を上げるためにも、タンパク質の摂取を推奨したいので、肉カレーや豆カレーなどにするとより良いかもしれません。

やみつきになる「深夜」と「ラーメン」の関係

一方、夜遅めに食べるラーメンはどうでしょう。

カレーのところで、朝食を摂るとデンプン質が分解しブドウ糖となり、ブドウ糖がインスリンの分泌を促進させることを述べました。このインスリンの働きについては後述しますが、インスリンによって24時間より長い周期の体内時計は30分程度前進し、24時間周期に合うようになるのです。

では、夜という時間帯の食事は体内時計を前進させるか、変化させないか、あるいは遅らせるか、どれでしょうか。

正解は体内時計を遅らせる、となります。そのため体内時計の夜型化を引き起こすのです。すなわち、夜食を摂る行為が体内時計の夜型化を引き起こし、体内時計が夜型になっていると夜食を食べたい誘惑を起こし……というように、夜型化の連鎖を引き起こす可能性があります。