大人になった消費者が“出合い”を果たすケースも
「ガリガリ君」(赤城乳業)は、今年で発売40周年。かつてのアイスは子どもが駄菓子屋で買うことも多かった。主力商品のソーダ味は、最も郷愁を感じる商品のひとつだ。
だが、40年のロングセラーとなると、発売時10歳だった人は50歳。同じ消費者でも年齢とともに嗜好が変わることも多い。現在の状況を赤城乳業に聞いた。
「ガリガリ君ソーダは、昔から味は大きく変わっておらず、大人になっていったん商品と離れてしまったお客さまでも、仕事帰りや飲み会帰り、お祭りなどで買われる機会も多いです。食べてみると、懐かしさと変わらないおいしさに気づく。こうした声もよく寄せられます」(開発マーケティング本部 マーケティング部 係長・岡本秀幸さん)
一方で「大人なガリガリ君」も販売している。今年はこんな味を発売した。
「ブランド40周年を記念し、6月1日に『ガリガリ君うめ』を発売しました。『懐かしい駄菓子』『昔食べたお菓子のあの味に似ている』という声が多く、販売も好調です」(同)
同社は企業メッセージに「あそびましょ。AKAGI」を掲げ、コロナ禍でも訴求する。
「当初検討していた『ガリガリ君ダンス』など、リアルな場でのイベントは控えていますが、SNSを中心に、投稿すると毎月1名に“ガリガリ君1年分”をプレゼントしています。また、ほぼ毎月新商品を発売し、アイス売り場で商品を探す楽しさ=昔、駄菓子屋のアイスショーケースの底から商品を探し出すワクワク感に近い、を提供しています」
岡本さんは「これからも新商品を発売しますのでご期待ください」と話していた。
和菓子屋の味が高齢者に選ばれる「あずきバー」
中高年の人気が高い「あずきバー」(井村屋)は今年で発売48年になる。コロナ禍前の2019年にアイス消費が多い石川県に出張した際は、スーパーの目立つ場所に「たい焼きアイス」(同社)とともに並んでいた。
井村屋の前身は明治時代に創業された和菓子屋。戦後の高度成長期にアイスクリーム事業にも進出し、自社の得意技術だった「あずき」をもとに商品を開発した。支持する層は中高年女性が多いため、時代とともに甘さを抑えるなど工夫を続けた。
「強みは何といっても『あずき』に対するこだわりです。併せてあずきの加工技術があることです。生豆から仕入れ弊社基準の厳しい選別基準を経て商品毎に合わせた『あん』を炊く技術は他社にない強みです」(井村屋広報)
同社は「特色経営(人の真似をしない)」と「不易流行」を掲げる。「あずきバーは『後味がさっぱりしているので好き』という声を多くいただきます。素朴な味わいだからこそ何度でも楽しんでいただけると感じています」(広報)