既婚男性と独身男性、それぞれの幸福度

厚生労働省の統計によると、50歳以上の夫婦の離婚件数は、1970年は5416件だった。これが1990年から2000年にかけて急増し、近年は6万件前後で推移している。40年間で約10倍という計算である。

原因の一つとして、2007年からの年金分割制度の改革が挙げられるが(簡単にいうと、年金の最大2分の1を妻がもらえるようになった)、もちろんそれだけとは言えない(ちなみに統計的には、無職の高齢男性の場合、家事分担率が低いほど、熟年離婚率が高くなる傾向にあるのだという)。

たとえば「世界価値観調査(World Values Survey)」にある「あなたはどれくらい幸福ですか」という質問の調査結果を基に、教育統計学者の舞田敏彦が執筆した記事「中高年未婚者の不幸感」では、30代から50代の日本人男性を「既婚者」と「未婚者」に分けた幸福度の結果が示されている。

この中で、「全く幸福でない」と回答した既婚男性はわずかに6.5%である。これに対し、未婚男性(独身男性)の何と43.5%が「全く幸福でない」と回答した。

子供や孫、友人の存在はあまり影響しない

さらに独身男性は幸福度が低いのみならず、様々な健康リスクにさらされることが分かっている。未婚男性が心筋梗塞で死亡するリスクは、既婚男性の3.5倍、心臓発作による死亡リスクは2.2倍、呼吸器官系疾患による死亡リスクは2.4倍、未婚者の自殺率は既婚者と比べ45歳から54歳で2.1倍、55歳から64歳で2.4倍である。

それだけではない。三浦展『下流老人と幸福老人──資産がなくても幸福な人 資産があっても不幸な人』(光文社新書、2016年)のデータによると、一人暮らしの高齢男性にとって、子供や孫がいることは必ずしも幸福につながっていない。一方、一人暮らしの高齢女性にとっては、たとえ離れて暮らしていても、子供や孫の存在が幸福度アップの大きな要因になる。

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また友人の数によってシニア女性の幸福度が上がるのに対し、男性は友人の人数と幸福度の相関関係が低い。これは友達の量よりも、質を求める傾向が男性にあるからだという(なかでも学生時代からの友人がいるかどうかが大きい)。