脳のなかで最も早く萎縮(老化)し始めるのが、前頭葉だ。神経細胞の減少の加速は40~50代くらいから始まることがわかっている。医師の和田秀樹さんは「ライフスタイルや日常の習慣、嗜好や性向、思考法を少し変えるだけで意外に簡単に、前頭葉委縮を抑えることができるが、中高年に多い家庭内離婚・仮面夫婦は前頭葉を委縮させる恐れがある」という――。

※本稿は、和田秀樹『医者が教える50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

MRI スキャンヒトヘッド断層撮影
写真=iStock.com/kool99
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中高年以降の「脳」について知っておく

①前頭葉が萎縮してくる(=前頭葉の老化)
②脳内伝達物質(セロトニンなど)が不足してくる
③動脈硬化が起こる
④男性ホルモン(テストステロン)が減少する(男女とも)

①前頭葉の萎縮……脳の前頭葉は、人間らしい「知性」――意欲・好奇心・創造性・計画性などを司る部分ですが、早い人で40代から縮み始める、つまり老化し始めます。萎縮が進むと、感情のコントロールがきかなくなったり思考が平板になったりします。

②セロトニンなどの脳内伝達物質の不足……セロトニンの減少は「うつ」を引き起こしやすくします。一時的な減少でも意欲低下やイライラなど心の不調をもたらします。

③動脈硬化……脳の血管は非常に細く、動脈硬化が進むと徐々に、細い血管の内部がつまりやすくなるため、とりわけ深刻です。脳の動脈硬化が進行すると自発性がなくなります。

④男性ホルモンの減少……男性ホルモンは、実は女性にもあり(量は男性の10分の1~20分の1)、大脳の視床下部から「分泌せよ」との指令を受けた脳下垂体が、男性の場合は主に精巣と副腎、女性の場合は卵巣や副腎に働きかけることで分泌されます。

しかし司令塔がいくら頑張っても加齢により精巣や卵巣、副腎の機能が衰えると、男性ホルモンは減少します。男性ホルモンには脳に直接働きかけて、意欲を高めたり判断力や記憶力を高めたりする機能があります。男性ホルモンの減少により、憂うつ感や、集中力やアグレッシブさの欠如、判断力や記憶力の低下が引き起こされます。