——両にらみのプランを準備するのはコストがかかりませんか。
【芝田】プランを2つ用意すると普通は負担が多くなります。それをどれだけコストを減らして用意するかが妙味ですよ。
インタビュー後記――新社長はなぜ「楽天的」でいられるのか
就任の記者会見で、前社長の片野坂真哉会長は芝田社長について「『大丈夫だよ』が口癖で、大丈夫じゃないという空気の時に、2日ぐらいして『大丈夫だよ』と2、3の根拠を持ってきた。なるほどと思い、それに乗っかったこともあります」と話した。
インタビューでの発言は一見、実に楽観的、楽天的な見方だなあ、と思ったが、その裏にさまざまな思考を巡らせた結果のBプランを持ち合わせているようだ。根拠のない楽観主義者ではなく、ある意味で慎重な楽観主義者と言える。
考えてみれば悲観論からは夢も成長も生まれない。「将来有望」と信じなければ苦境からは抜け出せないのだ。
先を読み、別の選択肢を用意して備える――。常にBプランを考えるのは「将棋5段」の腕前のせいかと思い、尋ねてみると違っていた。森内俊之9段と懇意のため森内氏に「5段」と認定されたらしい。
「コンピューター将棋では5級の腕前です」とあっけらかんと笑う。格好をつけない人だと思った。