航空需要の激減で、ANAホールディングス(HD)は2年連続の赤字に落ち込んだ。来期は黒字に戻せるのだろうか。4月に新社長になった芝田浩二氏は「需要が戻ったときに機材が足りないことのほうが怖い」と話す。ジャーナリストの安井孝之さんが聞いた――。
ANAホールディングス 代表取締役社長 芝田浩二氏
撮影=遠藤素子
ANAホールディングス 代表取締役社長 芝田浩二氏

経営危機と言われたが…ANAはコロナ後も生き残れるのか

——新型コロナウイルス感染の第6波が続き、第7波も予想されています。ロシアのウクライナ侵攻で世界経済の先行きはさらに不透明です。2年続いた赤字決算から2022年度は黒字に転換させる目標を掲げていますが、実現できるのでしょうか。

【芝田】コロナ禍の2年でコスト削減と事業構造改革がずいぶん進み、強靭きょうじんな体質になりました。今後も事業構造改革を継続し、その手綱を緩めません。強靭になった経営体質の下で今後は売り上げを上げていき、黒字を確保したいし、確保できると考えています。

——新しい危機が次々と起きている時代です。予想通りにいくでしょうか。

【芝田】確かに「一難去って一難」という状況が続いています。新型コロナとウクライナの問題は二つに分けて冷静に考えたい。

2月24日に起きたロシアのウクライナ侵攻は国際線を直撃する話です。ところが、新型コロナの影響で、現時点のANAの国際線の収入は小さく、大きなインパクトではありません。現在の環境であれば、あまり影響は大きくはないと見ています。

注意すべき点は新型コロナです。コロナの影響は国内線、国際線の両方にありますが、現在の主要なマーケットは国内線です。

まん延防止等重点措置が解除されると、昨年秋のように十分需要が戻ると思っています。山谷はあるが、強靭な体質に生まれ変わったことが寄与して、将来のリバウンド需要を吸収できると思います。

「コロナ前に戻ると信じています」

——中期的な見通しを考えると、今後の新型コロナの影響をどう見ていますか。

【芝田】見極めは難しいですが、当面はウィズ・コロナだろうと思う。ウィズ・コロナが許容できるような状態が一定の期間続き、新型コロナが普通の風邪のようになっていくのでしょう。国内線は今夏には回復のメドがついてほしいですね。