【芝田】国際線の回復は今後2年ぐらいかかると思っています。23年度末ぐらいでしょう。ウィズ・コロナはそれぐらいのレンジになるのではないかと思う。それ以降はコロナ前に戻ると信じています。

——いずれ元に戻るという考え方ですか。

【芝田】そういう見方です。回復のペースはマーケットによって違うが、将来的にはきっと戻る。旅行先でいえば、ハワイは比較的早く戻ると思います。

——観光需要は戻るかもしれませんが、オンライン会議の活用が進んだビジネス需要は戻らないという見方はないですか。

【芝田】私は戻ると考えています。個人的にもそう思うし、ビジネスパートナーや私の知人からも海外に渡航し、対面して商談するニーズはあると聞きます。オンラインでは話が片付かないものがあります。回復のペースが速いニーズと遅いニーズがあるかもしれませんが。

ANAホールディングス 代表取締役社長 芝田浩二氏
撮影=遠藤素子

2014年以降に発注した新型機が続々届く予定だが…

——先ほど「強靭な体質になった」とおっしゃいました。ANAは保有機体を削減(20年度に早期退役の28機を含め35機が退役)しましたが、今後はどのような成長軌道を描いているのでしょうか。

【芝田】需要の戻りに応じて生産高(提供座席数と飛行距離をかけた座席距離数)はいかようにも対応するという覚悟です。どういうことかというと、機材は少なくなっていますが、余裕機材がまだ国内線、国際線にあり、国際線には比較的多くあります。

国内線に乗られると分かりますが、国際線の座席仕様の飛行機が飛んでいることがあります。国際線で使っていた機材を国内線に使っているのです。これまでにない工夫をしながら需要に対応しています。そうした工夫で限られた機材を活用し、戻る需要に柔軟に対応していきます。

一方で2014年以降、発注してきた機材のデリバリーが始まりつつある。それを止めたり、先延ばしにしたりしてきましたが、現状は新機材が列をなして待っている状態です。

だから需要が戻ったときに機材が足りないということはない。成長戦略に疑問符が付くことは全くありません。23年度、24年度は何機必要かという判断について議論をしている最中です。