ワークマンは「本当に家でした」
「“えっ、悪いとこ?”みたいな感じになったんです。何かがあれば妹に愚痴を聞かせていたので、店長をやるのがすごく大変なことのように思わせちゃっていたんでしょうね。でも、いざそう聞かれると、悪いところなんて何も出てこなかった。自分で決めたほうがいいと思ったので、やったほうがいいよとは言わなかったんですけど、結局、やることに決めたわけですからね。兄妹揃って家業を継いだのかといえば、そうなんでしょうし、とにかく両親がワークマンを好きすぎたことに引きずられた気はします」
知らず知らずワークマン愛に染められていたというのがすべてなのかもしれない。
「ちっちゃい頃に遊びに行けるところはワークマンしかなかったしね。それを受け入れてくれた本部の人たちもすごいなって思います」(宮本さん)
「私も一緒の気持ちです。ワークマンは本当に家でした。ワークマンに行けば、ずっと、じじばば(両親)と一緒にいられたから寂しくなかった。父親は寂しい思いをさせたって言い方をするんだけど、そんな記憶はないんです」(田中さん)
光伸さん(長男)にも聞いたことだが、家業を継ぐ意識はあっても、そのためにはまず審査を受けなければならない。そういうルールがあることに関しては疑問をもたず受け入れられたのだろうか?
それについては母親の玉江さんが次のように話してくれた。
フランチャイズは「自分の店」ではないけれど…
「それは当然ですね。ワークマンという会社がきちんと土台をつくって、やってくださっているからこそ、うちの子どもたちもやっていける。そういうことだと思っているので、それでいいんじゃないですかね。土台をつくってくれている本部に応えるためにも、ちゃんと売上げを立ててねって子どもたちには言ってます」
家族全員が同じ仕事をやれることになったのだから親としては感慨深いことだろう。
「子どもの人生を親がかまいすぎてはいけないと思いますけど、みんなが継いでくれたのはやっぱり嬉しかったですね。親としては、みんなが一緒にいてくれて、いいことも悪いことも分かち合えるのは悪くない(笑)。
“この子にこの店を継がせたい”というような部分で勝手はできないので、その辺の難しさはありましたけど、それは仕方がないことですからね。私たちは自分のお店だと思って手塩にかけてきたけど、実際には自分の店じゃないのがフランチャイズですから。それでも結局、こういうかたちで子どもたちが継いでくれて、こんなに幸せなことはないと思っています」