本部としては、できる限りの早さで対応はしていた。現場に建設業者を入れて被害状況を確認したあと、ワークマンプラス店に業態を変えてリニューアルオープンすることに決めたのである。水害からわずか2カ月ほどで店を開けられたのだから、多くの人の想いと努力が結集していた。

SVとの二人三脚で「売上げ2倍」の大復活

「辺り一面、水浸しになってしまい、店を失い、この先どうすればいいのか……。まったくわからず、とにかく不安で仕方なかったんです。ワークマンプラスでやっていくと決まるまでは何度もしつこく『これからどうなるんですか?』という確認の連絡を入れていたくらいでした。はっきりとした答えはすぐには出なかったんですけど、担当のSV(スーパーバイザー)の方が定期的に連絡をくれて、『佐々本さんへ最大限できることをしますから安心して待っててください』って、すごく丁寧にフォローしてくれていたんです。

その後、ワークマンプラスとして再オープンできて、売上げを2倍くらいにできたんですから地獄から天国に行けたようなものでした。バチが当たるんじゃないかって怖いくらいです。ワークマンにはこれからも私を見捨てないでほしい(笑)。ワークマンプラスになって忙しくはなったんですけど、やっぱり売上げは、ないよりあったほうが楽しいですね」

話の中に出てきたSVとは、店舗を巡回しながら、仕入れや商品構成などの販売戦略を細かくアドバイスしていくコンサルタントのような存在である。ひとりのSVが担当するのは8~10店舗ほどで、通常は2週間に一度くらいのペースで店舗を訪問することになる。ワークマンに限らず、多くのフランチャイズにはこうしたSVが存在している。

結婚、出産を経た次女は「迷いませんでした」

次女の宮本由季さん(41歳)は、結婚して出産してからワークマンを手伝うようになっていた。

「次の子どもを産むときに休ませてもらったり、子どもをおんぶしながら働いたりとか、いろいろ迷惑をかけながらやってきてたんですが、信州中野店を継ぐかという話になったときには迷いませんでした。いつ頃からか、いずれそうするものだと思うようになっていたからです。

旦那は別の自営業をやっていて、最初は朝だけ手伝ってもらったりしてたんですけど、コロナの感染が広がってきたときに自分の店はやめてワークマンに専念するようになったんです。私自身、ワークマンの仕事は好きです。子どもの面倒をみながら長い時間、店に出ているのはしんどいですけど、疲れたなあってなっているとすぐに仕事ぶりに出ちゃうので、そこは気をつけて働いています」