社員に競争を煽ったり無理をさせたりしないのに、しっかり業績を伸ばす会社は何が違うのか。これは就活や転職活動中の人にも必須の視点だ。連載「社員を追い詰めない“脱力系”企業」第1回は「しない経営」で10期連続最高益を成し遂げ注目を集めるワークマン。専務の土屋哲雄さんは著書やインタビューで「ノルマなし、期限なし、残業なし、社内行事なし」「社員がストレスになることはしない」と言い切り、「優秀かどうかで採用しない」とまで言っているが、本当なのか。新規店舗オープンを直前に控えた現場社員に取材した――。

凡人による凡人の経営

今回取材に応じてくれたのは、ワークマン・新業態事業部の吉田悟さん(29)と稲富恵子さん(26)のおふたりだ。

ワークマン スーパーバイズ部の吉田悟さん(左)と稲富恵子さん(右)
撮影=プレジデントオンライン編集部
ワークマン 新業態事業部の吉田悟さん(左)と稲富恵子さん(右)

吉田さんは新業態事業部のチーフであり、稲富さんの上司にあたる。稲富さんは6月17日にオープンした「#ワークマン女子南柏店」のフォーマット(什器の発注や商品の陳列など)の担当者。同店は、ワークマン女子としては初のロードサイド店である。

最初にちょっと聞きにくいことを質問。

ワークマンには「スター・プレイヤーは不要」であり、「凡人による凡人の経営」が行われているそうだが、おふたりは自分自身のことを「凡人」だと認識しているのだろうか。

「高校時代は陸上部でハンマー投げを結構がんばってやっていまして、地区大会で3位に入る成績でしたが、大学(関東学院大学)時代は人並みというか、勉学の面でもごく普通の学生でした。(仕事の)能力としては、たしかに平凡だと思いますね」(吉田さん)

「大学(東京農大)は収穫祭の時だけ熱くなる、メリハリのある大学でした(笑)。写真サークルに入っていましたけれど、普通に暮らしていましたね。きっと吉田さんより、一層平凡な人間だと思います(笑)」(稲富さん)

オープン直前に、なぜこの余裕

ちなみに取材日は6月8日。担当店舗のオープン直前にインタビューを受けている余裕などあるのか、ちょっと心配になった。稲富さんが言う。

「南柏店の立ち上げにかかわって約1カ月半になりますが、すでに仕事の70%は終わっています。350ぐらいあるアイテムはすでに陳列を終えていて、あと3、4日でよりかわいらしく見えるように手直しをして私の仕事は終わります。ですから、時間的な余裕はあるんです」