募集部署の上司が脅威を感じたらどうするか

「必要以上の能力を持つ社員については、うまく組織に引き入れることが特に重要だ」と、エルドガンは言う。

「期待が満たされないことは離職の理由としてよくあげられるもののひとつだ」。だから、採用担当者は、自分自身にも、その新規採用者にも、組織の他の人々にも、そのポジションが何を必要としており、将来どのように変化する予定であるかを明確に示す必要がある。フェルナンデス・アラオスはこう語る。

「将来の明確なプラン、昇進や他の部署への異動、もしくはまったく新しいプロジェクトを考えているかどうかをはっきり示す必要がある。採用当初は、新規採用者の能力が一時的に十分生かされないおそれがある。だから、その後のことを考えて、話し合う必要がある」

フェルナンデス・アラオスもエルドガンも、採用担当者が対処する必要があるリスクはもうひとつあると言う。オーバー・クオリファイドの社員に対して、その上司が脅威を感じるおそれがあることだ。

「マネジャーはたいてい『自分はこの人物をうまく監督できるだろうか』と心配する」と、エルドガンは言う。

新規採用者よりも、仕事における経験や業績が乏しい上司の場合は、その人物が自分のポジションを奪うのではないか、その人物のせいで自分が無能に見えるのではないか、その人物はひどく扱いにくいのではないか、などといった不安を感じるおそれがある。

だが、これは候補者を不採用にするに足る理由ではない。不採用にするのではなく、その候補者の将来に焦点を合わせよう。上司が不安を感じる場合には「その新規採用者を近い将来昇進させるプランがないかぎり採用してはならない」と、フェルナンデス・アラオスは言う。