高学歴イコール「できすぎ」か?

履歴書にざっと目を通しただけでその候補者がオーバー・クオリファイド、すなわち会社の器に対して優秀すぎると決めつけてはならない。「『オーバー・クオリファイド』とは何かについては、ずいぶん誤解がある」と、エルドガンは言う。

「われわれはそれを当該ポジションのスキル要件を満たし、かつ超えていることと定義している。だから、学歴が高すぎることがオーバー・クオリファイドではない」。職務経験も同様で、応募者のそれまでの仕事が当該ポジションの職務に直接関係のないものだった場合には、いくら経験があってもオーバー・クオリファイドではない。その候補者の採用を見送るべきかどうか判断する前に、その候補者についてよく知ることが大切だ。

その候補者は何か理由があってこの特定のポジションに関心を持っているのかもしれない。別の業界に移りたいのかもしれないし、新しい土地で働きたいのかもしれない。あるいは仕事と家庭生活のバランスをもっとよくしたいのかもしれない。それに、会社が彼の「余分な」経験をうまく活用する方法が何かあるかもしれない。

募集中のポジションにとって本当にオーバー・クオリファイドである候補者について採用を検討するときは、そのポジションの職務を拡大して考え、会社にその候補者が持っているスキルを生かす余地があるかどうか考えてみよう。

「古いタイプの採用法は、空きポジションの職務を固定し、その職務に最適の候補者を探すというやり方だった。だが、今は、目の前にいる人材を生かす機会について検討し、当該部署以外のところで近い将来その候補者に適したポジションが新設されたり空席になったりする可能性がないかどうか、探してみることも必要だ」と、フェルナンデス・アラオスは言う。

「必要以上の能力を持つ候補者を採用することで、その会社が生産性を向上させ、成長し、今現在は追い求めることを考えてさえいない機会をつかみとる助けになることがある」

これら以外の利点も考えられる。優秀な人は他の社員を指導することができ、同僚を発奮させて現在彼らに期待されているレベル以上の働きをさせることもできる。また、その会社には精通している者がいなかった専門分野を持ち込むこともできる。