「好かれたい」「怖がらせたくない」気遣いが上滑りしている

「自分のメッセージが『おじさん構文』と親しい後輩に指摘されてショックを受けた」と、ある50代男性は言う。「自分では気付いていなかった。言われてショックだったが、ではどのように書いたらいいのか分からない」と頭を抱える。自覚しないままの人もいるが、この男性のように自覚しても直し方が分からないことも少なくない。

もちろん、中高年は相手を困らせるためにおじさん構文のメッセージを送っているわけではない。中高年は若者世代にとって目上で年上のため、若者世代に気を使ったやりとりをしようとする。テレワークで部下とも直接会う機会が減る中、若者世代に好かれよう、怖がられないようにしようと気遣うあまりに上滑りしてしまっているのだ。

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同時に、気を使って親しくなろうとした文章が、「なれなれしい」「媚びている」と感じられてしまうことになる。互いの距離感を間違っているメッセージは、SNSネイティブの若者には居心地悪く感じられてしまうのだ。このように気遣いが失敗してしまっているのは、大変もったいない。

テレワーク中の業務連絡はLINEよりメールで

若い頃のメイクやファッションがなかなかアップデートできないように、コミュニケーション術もそう簡単にはアップデートできないかもしれない。またそもそも、若者世代のコミュニケーションが正解というわけではなく、若者とやりとりする際には彼らのコミュニケーション術を身に付けなければいけないというわけでもない。

さらに言えば、中高年が若者世代のコミュニケーション術をただ身に付けても事は解決しなさそうだ。そもそも両者は友だち関係ではなく、必ずしも親しい間柄ではないためだ。

しかし、テレワークはまだ終わりそうになく、上司と部下という関係性でのやりとりはまだメッセージ中心となりそうだ。では、どうしたらいいのか。

Aさんの会社ではメールのほか、チャットやLINEなども連絡ツールとして使っているが、特にLINEの場合に上司がおじさん構文化する傾向が強いという。「メールでは普通。なのに、LINEだとおじさん構文化が激しいのはなぜなのか」と首を傾げていた。

メールは業務上の公式のツールであり、中高年も若者世代もある程度共通のルールやマナーにのっとっているため、問題が起きる可能性は少ないのだ。つまり、ツールをSNSやチャットにしないで、いっそのことメール中心にするといいのではないか。