絵文字入りの長文が当然だったガラケー文化の名残

そもそも、おじさん構文はなぜ生まれたのか。

今の中高年は、ガラケーでコミュニケーションしてきた世代だ。ガラケーのメールは絵文字が必須だったことを覚えているだろうか。当時の若い女性の間では、絵文字が使われていないメールは「黒メール」と言われ、相手に対して「怒っている」意味になりNGとされた。ある芸能事務所社長への取材で、若い女性には「怖い」と言われてしまうので、メールには必ず絵文字を使うようにしていると聞いたことがある。

ガラケー
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つまり、絵文字が多数使われたメッセージはガラケー文化の名残であり、中高年が若い頃に身に付けた文章コミュニケーション術そのものなのだ。よく、メイクが若い頃から止まっているとか、ファッションが若い頃と同じと指摘される中高年がいる。これと同様に、かつての成功体験から得たコミュニケーション術をアップデートしていないからこそ起きている可能性があるのだ。

「上司からのメッセージは一つ一つ長い。メールみたいなメッセージがLINEで来るので、スマホの画面がメッセージでいっぱいになる」と先ほどの20代社員は言う。これは、ガラケーではメールなので長文で送るのが当たり前だったためだ。

一方、若者世代は、LINEやInstagramのコメントなどでリアルタイムコミュニケーションをするため、短文でスピーディなやりとりが多い。「それな」「やば」「マジで」などの短い文章でのやりとりが続く。チャットのようなリアルタイムコミュニケーションでは、相手を待たせないように短文で送ることが多い。そのため、「!」を絵文字にするなどの手間をかけることも少なくなるのだ。

そもそもLINEなどは、特に若者世代では同じ世代の親しい間柄でやりとりされるものだ。それなのに、中高年が若者世代と同じツールでやりとりをしようとするため、両者にズレが生じているというわけだ。