専門医として断言しますが、糖尿病の患者さんを診るうえで最も大事なのは、血糖値コントロールではなく腎臓の状態を丁寧にチェックしていくことです。というのも、今は血糖値のコントロールがうまくいっていても、過去の高血糖が影響して腎臓に合併症が出てくることがよくあるからです。

つまり、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値がいくら理想的な範囲内に収まっていても、それで腎症が起きないわけではなく、その人が過去に高血糖であったならば、十分に腎症になる可能性はあるということです。

しかも、本人も担当医も、その人が過去にどれだけ高血糖であったかなど正確に把握できていません。そういう状態で、「血糖値コントロールが上手にできているね」と喜び合っていれば、その間に腎臓の状態を悪化させてしまいかねません。

早期治療のタイミングを逃す2つの理由

今はいい薬があって、合併症の腎症も早い段階なら確実に治すことができます。しかし、せっかくの早期治療のタイミングを逃しているケースが多々あります。

その理由は2つあります。

牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)

1つは、ここで述べたように血糖値コントロールに終始していて、腎症を早期に発見する検査がなされていないからです。

もう1つは、腎臓が悪くなっても治す治療法を知らない医師が多いからです。

糖尿病の専門医でも腎症を早期に発見する検査をしないくらいですから、その治療法を知らないのも当たり前。多くの糖尿病専門医にとって腎臓病の治療は専門外なのです。

そこで、40年間で20万人の患者を診てきた糖尿病専門医であり、腎臓病とAGEの研究を続けてきた立場から、今すぐできること、やるべきことをまとめたのが『医者が教える最強の解毒術』です。

尿アルブミン検査を受け、早めに対処をすれば、一生人工透析とは無縁でいられます。慢性腎臓病の悪影響も避けられます。ぜひご一読いただき、行動を起こして欲しいと切に願っています。

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