特に、体の自由がきかなくなったり、人生の終わりが近づいたりしたとき、一人称の幸せは、何の意味も持たなくなります。お金も地位も名誉も、体が自由に動かせない苦しみをやわらげてはくれず、あの世に持っていくこともできないからです。

でも、一人称の幸せを卒業すれば、より大きく安定した幸せを感じることができるようになります。人の幸せや人の喜びを、自分の幸せと感じることができれば、幸せな人、喜んでいる人の数だけ、どんどん自分の幸せの数が増えていくからです。

一人称の幸せのように、「自分の元から去ってしまうのではないか」という恐怖に襲われることも、人と奪い合うことも、人と比べて一喜一憂することもありません。

たとえ自分が苦しい状況にあっても、人を幸せにすることができれば、あるいは人の喜びを幸せと感じることができれば、それが心の支えになるでしょう。

誰かの喜びにつなげる仕事をするのがいい

「今の働き方でいいのだろうか」「この仕事を続けていていいのだろうか」という疑問が浮かんだときは、大きなチャンスです。

小澤竹俊『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』(アスコム)

自分の仕事や働き方が誰かの喜びにつながっているか、ぜひ見直してみてください。もし、誰かの喜びにつながっていると感じられれば、自信をもって、また新たな気持ちで、仕事に取り組むことができるでしょう。

現時点で、仕事を通して一人称の幸せしか得ていないことがわかった場合は、働き方や仕事の内容をどのように変えていけば、誰かの喜びにつなげることができるか、考えてみましょう。

拙著『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』には、働き方だけでなく、家族のこと、孤独との向き合い方、どうすれば自分らしく生きられるかなど看取りの現場から生まれた17の質問と、私なりの答えを執筆しています。

息苦しい時代の中ではありますが、どう生きればより楽しい人生を送れるのか、少し立ち止まって考えてみてください。きっとあなたの心をラクにしてくれるはずです。

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