古代ギリシャの時代から論じられてきた、「幸福とは何か」という問い。精神科医の樺沢紫苑氏は「私たちが普段感じる『幸福』は、セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福に分類できる。そしてこれら3つの幸福には『優先順位』がある」という――。

※本稿は、樺沢紫苑『精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

サイケデリックドラッグを服用した際の意識のイメージ
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「幸せ」を感じるとき、脳の中では何が起きているのか

「幸福になる方法」をお伝えするには、まず「幸福とは何か?」について考え、定義する必要があります。これが非常にやっかいで、古来、アリストテレスやソクラテスのギリシャ時代から、2000年以上にわたって論じられた重要な問題です。

「幸福とは何か?」について論じるだけで1冊の本になってしまうかもしれません。しかし、私は哲学者でも、社会学者でもなく、精神科医です。そして、脳科学研究も10年以上やっていました。ですから、私が論じるのはありきたりの「幸福論」ではなく、精神医学、脳科学に基づいた「実用のための幸福」となります。

正直、私は難しく考えるのが苦手です。だから、シンプルに考える。幸福というものを、もっとシンプルに考えられないのか?

ある日、思いました。私たちが「幸せ」と感じるときに、脳の中ではどのような反応が起きているのだろう? そして、具体的にどのような「脳内物質」が分泌されているのだろう?

調べてみると、私たちが「幸せ」を感じるときには、ドーパミン、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィン、アドレナリン、ノルアドレナリン、GABAなど、なんと100種類以上の幸福物質が出ているのです。

ドーパミンは、お金や成功、達成の幸せ。セロトニンは、やすらぎ、気分の安定の幸せ。オキシトシンは愛、つながりの幸せ。エンドルフィンは、ランナーズハイに代表される限界状況に陥ったときに出る多幸感の物質。アドレナリン、ノルアドレナリンは、興奮、不安、恐怖。例えばジェットコースターに乗ったとき、あるいは、テレビで格闘技の試合を観たときのエキサイティング、スリリングな快感と関係しています。