地方では40代後半でも「若者」扱いしてもらえる!?
最近、もうひとつ驚いたことがある。それは「地方で暮らすと47歳でも案外『若者』認定をしてもらえる」ことだ。先日、私が住む佐賀県唐津市の隣に位置する伊万里市の「金吾農園」へ行ってきた。農園主の吉田金吾さんは74歳。彼は「オレほど失敗し続けてきた人間はいない」「人の話ってもんは、成功話じゃ面白くない。失敗話が面白いんだ」などと言い、数々の失敗談を話してくれた。現在は泥で小屋を建てている最中で、この日はわれわれの一行4人で小屋づくりの手伝いをした。
一息つきながらお茶を飲んでいたときのことだ。金吾さんは「あんたたちみたいな、いい若者が来てくれてよかった」と言ってくれた。47歳にして、まさかの若者認定である! 金吾さんは、養鶏を手がける若者を支援したり、数多くの若者と一緒に小屋づくりや農作業にいそしんだりして、慕われている。
金吾さんは、仲間と一緒に捕まえたというイノシシの肉のカレーをわれわれが「うまい、うまい」と食べていたら、離れた場所にある山小屋にまで連れて行ってくれ、冷凍庫に保管されていたイノシシ肉を「持ち帰りんしゃい」と渡してくれた。「また、いつでもいらっしゃいな」と穏やかにわれわれを見送ってくれる金吾さんの姿を目に焼き付けながら、私は彼のことがすっかり好きになってしまった。
東京では毎度「年上プレイ」をしてきた私だが、金吾さんとお会いしたことで、これからさらに「年長者」としての振る舞いを学ばせてもらえるだろう。そんな機会を得ることができたのは、本当にありがたい。
今後は、金吾さんのような“よき年長者”から学んだことなども含め、自分が培ってきたものを若者にもっと惜しみなく還元していきたい──そう、心を新たにした次第である。
・35歳あたりを過ぎたら、「自分はもはや“年長者”にカテゴライズされる人間である」と自覚すべし。
・よき年長者になるには、自分が年長者から受けた扱いを参考にしつつ、「どのような言動が若者から好まれるか」を意識するところから始めてみよう。
・年齢にかかわらず、相互に学び合える人間関係を構築することが理想である。年長者だって、若者から学べることは多い。