カッコイイ年長者の振る舞いをマネすべし

一方「これはカッコイイ!」と思った年上の言動もある。それらについては「将来、ぜひマネしよう」と記憶に留めることを心がけた。実際、自分がオッサンになってからマネしていることも多い。こちらもいくつか挙げてみる。

・あるトピックに関連して、プラスアルファの情報やヒントをさりげなく提供してくれる。たとえば、人生に役立つ良書をサラリと紹介してくれる、といったことだ。天ぷら屋へ行ったとき「『天ぷらは親の仇を討つかのように食べろ』と池波正太郎の『男の作法』って本に書いてあった。あの本は、読んだほうがいいよ」などと教えてくれる。
・自分のほうが高い給与を得ているので、飲みの席で当然のように多めに払ってくれる。
・部下や後輩が仕事でミスをしたとき、まったく怒ることもなく、とくに表情を変えずに「わかった。あとはオレがなんとかする」とだけ伝え、どこかへ出向くか、どこかへ電話をかける。それで問題が解決する。
・下請けに対し、常に「皆さんのおかげで仕事が回っております。ひいては私も給料がもらえています」という態度で接する。
・部下や後輩が何かに困っている様子をすぐに察知して、「どうした?」「何かあった?」と声をかけてくれる。相談してみると「それだったら○○さんを紹介するよ。彼だったら助けてくれるはず」などと適切な人に繋いでくれる。
・「取り急ぎ相談したいことがあるのですが、話を聞いてもらえませんか? いますぐが無理でしたら、なるべく早いうちに時間を作っていただきたいです」とお願いしたら、「いますぐ」ないしは「こちらの想定以上に早いうち」に時間を作ってくれる。

「悩める若者」のよき相談相手として

これまで年上の人々から、さまざまな「若者に対して忌避すべき行為」と「実践すべき行為」を見せられただけに、現在、若者に対しては極力「実践すべき行為」だけで接するよう心がけている。もちろん、私にも道徳心に欠けているところがあるし、アル中だし、聖人君子でもないので、あらゆる場面でそのように行動できているわけではない。それでも、無理のない範囲でかくありたいと努めている。

こうした先輩の姿を追うことに加えて、もうひとつ、忘れてはいけないと捉えているポイントがある。それは「若者は年長者よりも悩むことが多い」という点だ。悩める若者に対して、年長者は真摯に向き合わなければならない。

悩んでいることや迷っていることを気軽に相談できる年長者になれれば、若者からの信頼感はおのずと高まるものだ。私はこれを心がけたからこそ、若者が仕事に悩んだり、転職するかどうか逡巡したり、年収をいかに上げるか苦悶したりする場面で「すみません、一緒に飲みに行ってもらえませんか? ご相談したいことがあります」と誘ってもらえるようになったと考えている。