「How?(どうやって)」を先に考えてはいけない
RASとは、目的地の住所を入力すれば、そこへ連れていってくれる車のGPSのようなものだと考えるといいでしょう。
必要なのは、まず「What?(何をしたいのか? どうなりたいのか?)」という未来の行き先を明確に決めること。「How?(どうやって?)」を考える必要はありません。
GPSを使うときも、大事なのは「どこへ行きたいか」であって、「どのようにすれば行けるか」を考える必要がないのと同じです。
GPSの仕組みを知らなくても、任せれば確実に道案内をしてくれるように、夢や目標にたどり着くためのヒントや情報は、RASが自動的に選別し集めてきてくれるのです。
にもかかわらず、とかく私たちは「How?(どうやって?)」のほうを先に考えがちです。実はそれが、多くの人が夢を実現できない理由です。
たとえば、誰かが成功したら「どうすればあんなことができるんだろう?」とため息まじりに考えてしまいます。でも、いくら考えてもわからないので、結局、チャレンジすること自体をあきらめてしまうのです。
それにたいていの人は、「How?(どうやって?)」と自問自答をしても、「資格を取る」「貯金する」など、今の自分が想像できる範囲の答えしか思いつきません。だから、想像を超えるようなミラクルを起こせないのです。
それについて、ピーズ夫妻がこんなことをおっしゃっていました。
以前、お二人は、「ロシアで本を出版し、講演活動をする」という夢を描いたことがあったそうです。しかし、当時は冷戦下にあり、ロシアはまだ鉄のカーテンに閉ざされた国でした。周りの誰もがあきれて「そんな夢は叶いっこない」と断言したといいます。
「誰一人知り合いもいないのに、いったいどうやって実現させる気ですか?」
そう聞かれても、夫妻は笑って「さあ、わかりません」と答えるしかありませんでした。
それでも、彼らはその夢をRASに入力しました。
すると、しばらくしてシドニーである会議に出席したときのことです。偶然、後ろの席からロシア語なまりの英語が聞こえてきたのだそうです。話しかけてみると、声の主は、ロシアの政府やマスコミに太いコネクションを持つロシア人でした。
夫妻とロシア人はその場ですっかり親しくなり、彼が窓口になってくれたことで、出版や講演の話はトントン拍子に進みました。
こうして、夫妻の夢はいっきに叶ってしまったのです。RASに任せておけば、思いもしなかった近道を教えてくれるということです。