さまざまな制度を駆使して、働きながら娘をケア
お腹にいる子どもの異常を告げられたのは妊娠27週目のときだ。骨が曲がっていることがわかり、お腹が大きくなるにつれ、肋骨や大腿骨に変形が生じていく。「お腹の子は私が守っているんだから、絶対大丈夫」。山田さんはそう信じるしかなかった。
帝王切開での出産になり、医師から新生児死の可能性も伝えられる。あまりのショックに気も動転したが、覚悟して迎えた当日、術後に聞こえたのは赤ちゃんの泣き声。「生きてる!」と嬉しくて、その頬に触れたときに初めて涙がこみあげたという。
「萌々華」と名づけた愛しい娘。だが、NICU(新生児集中治療室)に入ると、抱っこや授乳もできない。病名は「骨形成不全症」。骨がもろくて弱いことから折れやすく、骨の変形や呼吸機能障害などをきたす先天性の難病だ。治療法もなく、骨折を防ぐ薬を投与し続ける。生後8カ月でようやく退院できることになったが、「NICUで先輩ママから『仕事は絶対できないわよ』と言われたんです。でも、生まれた子にたまたま病気や障がいがあるというだけで、母親も仕事ができなくなるのは納得がいかず、何か方法があるんじゃないかと思い悩みました」。