※本稿は、堀野智子『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
私が使い始めたことでハードルが低くなった
私が住んでいた市営住宅は、2軒連なった平屋づくりでした。
近所の子どもたちは、皆似たような年ごろで、旦那さんたちのほとんどは同じような勤め人です。年齢も家庭環境も近いので、お互いの家を気安く行き来し、仲よくお付き合いさせてもらいました。
女性が集まれば、自然にさまざまな生活情報が飛び交います。
中でも美容に関しては、まだ化粧品会社の数も情報も少なかったので、「あれがいいらしいよ」と聞けば、誰もが飛びつくような時代でした。
特にポーラは、他の化粧品会社のように店舗を構えて販売することがなかったので、希少価値が高く、高級品のイメージが強かったんです。
そんなこともあって、手を出すにはいささかハードルが高く、「私なんかが使えるような化粧品じゃない」という先入観を持った奥様たちが多かったようです。
ところが、私が使い始めたこと、しかも月賦で買わせてもらっていることで、そのハードルがぐっと低くなり、市営住宅の奥様たちの多くが、ポーラ化粧品のファンになっていったんです。自分と生活レベルが似通っていて、実際に商品を使っている人の口コミというのは、とても影響力が強いことを実感しました。
そして、私自身が口コミの発信源になっていることにも気づきました。
これで私はピンと来ました。
「私自身がポーラ化粧品のセールスをすれば、市営住宅の奥さんたちが買いやすくなるだけでなく、私に売り上げの一部も入ってくる」
思い入れの強い商品を届けられる幸せ
電話局の仕事、仕立て物、箱づくりの内職や果樹園の手伝いなど、これまでどんな仕事も厭わずやってきました。
それに一度もイヤだと思ったことがなく、仕事の内容を問わず、どれも私に達成感と楽しさ、やりがいを感じさせてくれました。
そんな数々の仕事の経験を通してみても、化粧品のセールスの仕事は、格別な魅力があるように感じられました。
その理由の1つに、私ほどポーラ化粧品への思い入れが強い人間は、そういないと思えたというのがあります。
私は好奇心旺盛で、自分がいいと思ったものを伝えたいという気持ちが強く、何かにつけて「堀野さんからそう聞くと、自分も使ってみたくなる」とか「その方法、試してみたくなる」などとよく言われていました。
そんな私が、こと自分が使っている化粧品の話になると、一段と熱が入るのです。
使い始めてから私の肌がいかによくなったか、使い心地はどんななのか、これまで紹介した人たちがいかに満足しているか、シリーズの全部をそろえるとそれなりの金額になるけれども、月賦で買わせてもらえるので主婦にも手を出しやすいこと……。
さらには、近所の奥さんを私の家に招いて、実際に私が使っている化粧品を手にとってもらい、顔や手につけてあげて、お手入れの真似ごとまでする始末です。
自分で使うだけでなく、他の人に正しい商品知識を伝えて、この素晴らしい化粧品をもっと広く知ってもらい、より多くの女性がきれいになって、笑顔あふれる生活を送って欲しい……きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、本当にそう思うようになったのです。