もはや「堅物」「保守的」という官僚・役人像はないのだ
私は千葉県の私学で教員をしつつ、評論家、コンサルタントとして活動している。仕事柄、日常的に公務員と仕事をしている。政府の各種委員会に参考人として、自治体に講演の講師として呼ばれることがよくある。さらには、取材の目的で彼らの話を聴きに行くこともある。
メディアでは「官僚」「役人」と括られ、叩かれる彼らだが、実際に仕事をしてみて不愉快な想いをしたことが一度もない。むしろ、大変に聡明な上、使命感が強い。さらに大胆なプランを提案する「攻めている」方も中にはいる。起業家や、広告代理店の社員と話しているかのような気分になることすらある。
実際に、法案になる前のものも含めると、官僚たちは実にユニークなプランを多様な人を巻き込んで実現している。参考人や委員として参議院や官庁に呼ばれたことが何度かあるが、事前の打ち合わせも当日の議論も「攻めてる」と感じることは一度や二度ではない。「堅物」「保守的」という官僚、役人像はそこにはない。
よくも悪くも「これは官庁、自治体の職員の仕事なのか?」という案件も担当することになる。地域のB級グルメ、ゆるキャラ、スポーツチームの誘致や運営などにも関わる。一方、彼らと接していて切なくなるのが異動である。仕事上、接点のある方は必ず異動がある。しかも、必ずしもこれまでの専門分野とは関係ない部署に異動する。
今、最もロックなのは公務員志望の君だ!
なお、よく地方公務員の魅力として「地元で働くことができる」ことが挙げられる。ただ、これは必ずしも正しくない。都道府県の職員の場合、そもそもエリアが広大で、同じ県ではあるが、必ずしも実家から通えるエリアではないということもある。さらに、中央官庁などへの出向や、東京や海外の事務所勤務などもあり得る。
このように、多様な経験を積むことができる一方で、必ずしも地元で働くことができるわけでも、専門性が磨かれるわけでもないのが、公務員の仕事である。
ややちゃぶ台を返したようなことを言う。このような現状をみた上で、公務員を志望する若者を批判していいのだろうか。「安定しているから公務員」という若者には、この記事を通じてそうではないことに気づいてもらいたい。一方で、ハイリスク・ローリターンなのにも関わらず、国や地域に貢献したいと言う若者たちは、まるで社会起業家のようにすら思えてくる。
いまさら安定した仕事でも、未来が約束しているわけでもない公務員に進む若者を見ているとロックだなと思う。よく「もう一度、就活するならどこに行きますか?」と言われることがある。私の選択肢の一つは「公務員」だ。