保守的か、先進的か個人主義か組織人か

担当者の悩みをきけたら、それは家でいえば玄関に入ったようなもの。キーマンは誰かをきくだけで簡単にわかりますし、「どんな人ですか?」ときいても怒られません。さらに「御社でこの提案のような案件は、いつ、どういうプロセスで意思決定するんですか?」ときけば、「本件みたいに予算が20万円以下なら課長クラスで決まります」「こういう件は、全部、役員決裁です」。会議は月に1回か、週1回かをきき、それに合わせて「会議が来週の火曜日なら、会議の書類が必要ですよね。そのお手伝いをさせてください」。そのためにどんな資料が必要なのかをきちんと理解し、準備して持っていく。これなら無駄がありません。

担当者にもいろんな人がいますから、それぞれの価値観を把握すればさらに効果的です。まず保守的か先進的か。もう1つは個人主義者か組織人か。後者はすぐ見分けられます。その人の会話の中で人称代名詞「I」(私は)を頻発する人は個人主義者、「we」つまり「我が社」「我が部署」なら組織人です。これらを掛け合わせて、対応を変えていきます。

先進的な個人主義者なら「あなたの手柄を一緒につくっていきましょう」「この企画は人事評価でも高い評価が出る面白いやり方ですよ」というように持っていく。保守的な組織人なら「あなたを通じて社内でやるために、部長も巻きこんで一緒にやりましょう」といった誘い方がいい。多くは前例主義なので、他社の事例を持っていくと効果的です。「実は、既に御社以外の会社でもやっています」とか「既にA社、B社でやっています」と言うと安心します。

スタンドプレーが好きな革新派もいます。そういう人には、「フライング気味に持ってきたんです。できれば先に決めていただければ、他社には持っていきません」などと持っていくといいでしょう。

営業は一昔前と大きく様変わりし、無駄を嫌うようになりました。無駄をなくすとは、本当のことを知るということ。それだけですよ。質問力は、そのために必須なんです。

(構成=篠原克周 撮影=初沢亜利)
関連記事
女性役員が昇進の武器にしてきた資格とは何か
会社が絶対手放さない、優秀人材6タイプ
「自分の生き方」がない人はAIに仕事を奪われる
会話が上手い人は「何でもグーグル検索」しない
バカほど「あえて難しい言葉を使いたがる」ワケ