アイデア自体は誰でも簡単に思いつくことができる

しかし、「『使える』アイデアを考える」というのは、とても難しいものです。先ほどの例で言えば、「今、みなさんは今日の自分にぴったりで完璧な服を着ていますか?」「今日選んだランチは、自分にとって最高なものでしたか?」――きっとそんなことはないと思います。

時間がなくて妥協したり、「やっぱり、あっちを選んどくべきだったな〜」と思ってしまったりしていて、常に「最高のアイデア」を思いついているわけではないと思います。

まだピンときていない人のために、ひとつクイズです。

「100万円を手に入れる方法を考えなさい」

と言われたら、みなさんはどう答えますか?

おそらく、ひとつも思いつかない人はいないと思います。アルバイトでも副業でも株取引でも宝くじでも、どんどんアイデアが出てくると思います。

しかし、「『手っ取り早く』100万円を手に入れる『最高の』方法を考えなさい」と言われたらどうでしょう。簡単には答えられなくなるはずです。仮に思いついたとしても、それを“実践”できるかというと話は別だと思います。

そう、人はみな、アイデア自体は誰でも簡単に思いつくことができる。

でも、「活用できるアイデア」「本当にその目的に合った、実現可能なアイデア」を考えるのは非常に難しいのです。

「目的を明確にする」ことがポイントだ

「アイデア」は思いつくけど、「使えるアイデア」を考えるのは難しい……。では、どうすれば「使えるアイデア」を思いつくことができるのでしょうか?

その答えは、「目的を明確にする」というものです。

【目的】をしっかりさせれば、「使えるアイデア」を思いつくことができるのです。

これはどんな物事においても言えることなのですが、【目的】がしっかりしていないと何もうまくいきません。なぜなら、【目的】とは「ゴール」であり「目的地」だからです。

たとえば、みなさんが渋谷に行こうと思ったとき、どんなルートで行きますか?

少なくとも「歩き回っていれば渋谷に着くはずだ!」と自宅の周りをぐるぐる歩き回るということはしないと思います。

きっと、「渋谷はここからだと北の方角だな」とクルマを走らせたり、「新宿から山手線で行ったほうがいいな」と電車に乗ったり、「渋谷」という目的地を明確にしてそこに向かって進もうとするはずです。

これと同じことが、アイデア作りでも発生しているんです。

とくに【目的】がなくても自宅近くを散歩できるように、「アイデアを作る能力」自体はもうすでにみなさん一人ひとりが持っています。

でも、それだけではダメなんです!

それではいつまでたっても渋谷(目的地)に着かないんです!

【目的】の方向性があって初めて、みなさんの「アイデアを作る能力」は活かせる。渋谷(目的地)のほうに矢印を伸ばすことができるのです。

「アイデアを作り出せない!」とお悩みの方の9割は、「アイデアを作る」ことができないのではなく、「目的を作る」ことができていません。

逆に言えば、【目的】を作れるようになれば、そこに行き着くためのアイデアを考えるだけで、簡単にその目的地にたどり着くことができます。