誰にも思いつかないアイデアは「遠く」にある
【目的】を作る必要性は、もうひとつあります。
それは、みなさんが求めている「使えるアイデア」は、【目的】をしっかり作らなければたどり着けないほど“遠く”にあるということです。
世の中を変えるようなアイデアや、人を魅了するアイデアというのは、近くにはありません。必ず遠くにあります。近くのアイデアだったら、【目的】がなくてもいつかはたどり着けると思います。でも、そんなアイデアは誰でも思いつくでしょう。
遠くに行くためのアイデアは、【目的】がないと絶対にたどり着きません。家の近くを歩いていてもブラジルにはたどり着かないように……。
アイデアを作るというのは、「どこまで遠くに行けるか」という勝負なのです。
たとえば今、YouTubeはレッドオーシャン、つまり血で血を洗うような激しい競争が展開されていると言われています。毎日のように新しいYouTuberが現れ、「コーラにメントスを入れてみた」とか「食品のレビューをやってみた」などの同じような動画がたくさん出てきています。
こういう中で動画再生数を伸ばして大物YouTuberとしてやっていくためには、「他の誰も思いつかなかったこと」や「誰も真似できないようなこと」をやる必要があります。
誰でも思いつけるアイデアというのは、必ずもう実践している人がいますし、すぐに真似されてしまいます。これは「近いアイデア」です。
そうではない、誰も思いつかないようなアイデアこそが、「遠いアイデア」です。
「尖った企画」や「イノベーティブなアイデア」を考えたければ、遠くを目指すべきなのです。
目的とはアイデアの「尖り」を考えること
そして、「遠いアイデア」を作るために必要なのが【目的】です。遠くに行くために、【目的】を設けてそこに向かって行く必要があるわけです。
つまり、【目的】とはアイデアの「尖り」を考えること。遠くに行こう遠くに行こうと「計画」を立てることなのです。
こんなことを言うと、
「それすごく難しそう!」
「別にそこまでのアイデアを作りたいわけじゃないし……」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、これは別に難しいことではありません。
みなさんは、「コロンブスの卵」というエピソードをご存じですか?
新大陸を発見したクリストファー・コロンブスはある日、「新大陸発見なんて誰でもできることだ」と批判を受けました。そのときコロンブスは卵を差し出して「その卵を立ててみろ」と言いました。
批判していた人はどうやって卵を立てていいかわかりません。すると、コロンブスは卵の底をグシャっと机に押しつけ平らにして、卵を立てました。
そしてこう言ったのです。
「誰でも思いつきそうなアイデアでも、思いつく者は特別なんだ」と。