「口利き疑惑」は氷山の一角でしかない

近年、日本で就職する留学生は増え続けている。法務省によれば、2017年には前年から約15パーセント増えて2万2419人と、過去最高を更新した。5年前と比べて2倍以上の急増だ。安倍政権が16年に発表した「日本再興戦略」(成長戦略)で、留学生の就職率アップを掲げたことが大きく影響した。当時は約35%だった就職率を5割まで引き上げようという政策である。

この政策によって、技人国ビザの発給基準が大幅に緩んだ。前回の拙稿「外国留学生急増の裏で進む“偽装就職”の闇」(5月24日)で詳しく書いたように、技人国ビザで認められるホワイトカラーの仕事に就くように見せかけ、実際には弁当工場などでの単純労働に従事する“偽装就職”も横行している。

そもそもホワイトカラーの仕事では人手不足は起きていない。外国人労働者を欲しているのは、日本人の嫌がる単純労働の職種なのである。そうした“偽装就職”の斡旋に、人材派遣会社が関わることが少なくない。留学生から数十万円の手数料を取ってのことだ。

もう一つの「成長戦略」である「留学生30万人計画」達成のため、政府は留学ビザの発給対象にならないはずの外国人の入国を認め続けてきた。結果、ベトナムなどアジア新興国から、出稼ぎ目的の“偽装留学生”が大量に流入した。そんな彼らを底辺労働者として都合よく利用してきた日本は、今度は留学生の就職率アップという政策を通じ、この国へ引き留めたいのだ。

外国人労働者急増の裏には、民間業者から政治家、官僚まで“オールジャパン”で加担する数々のインチキと利権の闇が広がっている。上野氏の“口利き疑惑”は、氷山のごく一角が露呈したにすぎない。

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