8月に厚生労働政務官を辞任した自民党の上野宏史氏は、外国人労働者の在留資格を1件2万円で口利きしようとした疑惑が報じられた。ジャーナリストの出井康博氏は「外国人労働者の急増に伴い、政治家たちの利権も膨らみ続けている。今回の疑惑は、氷山のごく一角が露呈したにすぎない」と指摘する――。
外国人のビザ審査をめぐり、疑惑が浮上
『週刊文春』のスクープで、厚生労働政務官を務めていた上野宏史・自民党衆院議員の“口利き疑惑”が発覚した。外国人の在留資格審査に関して法務省に口利きをし、見返りとして民間の人材派遣会社からカネを受け取ろうとしたとの疑惑である。1件の口利きにつき「2万円」といった秘書らとやりとりの録音まで暴露された。
国会議員や秘書が公務員への口利きによって報酬を受け取れば、「あっせん利得処罰法」に問われる。また、口利きに効果があったように装ってカネを取った場合は、詐欺罪の対象となる。上野氏は疑惑を否定したが、政務官を辞任することになった。
問題の案件は、人材派遣会社とコンサルティング契約をしていた女性経営者から上野氏に持ち込まれたという。文春の取材に対し、人材派遣会社は在留資格を申請した外国人のリストを上野氏に送ったことは認めたうえで、口利きの依頼はしていないと強調している。
一方、同誌に載った上野氏と女性経営者の会話からも、2人にはこの会社からカネを取る目的が明らかにあったと思われる。