車と並んで「節約したい」アイテムに

このように、環境や社会問題への意識がもともと高かったわけではない女性ファッション誌においても、ごく自然な流れでエシカルファッションが特集されるまでになったのである。その背景には、浪費に直結するファッション消費ほど避けられるという事情がある。消費者のファッション離れはそれほどまでに顕著なのである。

消費者庁の「平成29年版消費者白書」でも、次のような結果が出ている。

今後節約したいと思っているものを聞いたところ、「車」と答えた人の割合が全年齢層で高くなりました。近年、若者の車離れがいわれていますが、高年齢層でもこの傾向があることが示されています。
年齢層別でみると、10歳代後半では「食べること」や「通信(電話、インターネット等)」と回答した割合が高く、30歳代から60歳代まででは「ファッション」や「通信(電話、インターネット等)」、70歳代以上では「ファッション」と回答した割合がそれぞれ高くなっています。「いずれも当てはまらない」と回答した人の割合は、70歳以上で最も高くなっています。
ファストファッションなどの台頭で、過去に比べ安価で品質のよいものが手に入るようになったことで「ファッション」に対する節約意識が高くなったものと思われます。

今後節約していきたいものの筆頭に挙げられるのが車と並んでファッションなのである。人々が節約したいファッションを買わなければならないファッションにするためには、もう「エシカル」しかない。負の消費を正の消費にするには、エシカル消費に頼るしかないのである。

ユニクロと無印良品は何が違うのか

こうして、エシカルな「くらし」の時代に最も相応ふさわしく、最も正しい選択肢となったのがユニクロが掲げる「ライフウェア」である。

画期的な機能性と普遍的なデザイン性を組み合わせた「ライフウェア」は服のかたちをしているが、もはや服ではないのかもしれない。なぜなら「ライフウェア」はすでに服であることを超えているからだ。新たな価値観をつくり、ライフスタイルを示すものであるからだ。それは、服のかたちをした「ていねいなくらし」という理念であり、「エシカル」なライフスタイルという記号ではないだろうか。

ユニクロは、服を売っているのではない。ユニクロが売ろうとするのは、「くらし」である。ユニクロは服を通して、「くらし」を売っているのだ。だからこそ、ユニクロは今の私たちに不可欠なものとなったのである。