“プチぜいたく”のトレンドも意識
2019年3月25日、「明治 エッセルスーパーカップSweet's フルーツタルト」を発売した。
「一番下にクリームチーズ風アイスを敷き詰め、その上にバタークッキー、ヨーグルト味のアイス、そして一番上に5種類の果実を使用したフルーツソースを乗せました」(同)
「フルーツタルトの味わい」と層状アイスならではの「味わいの変化が楽しめる」商品だという。分量は172ml、メーカー希望小売価格は220円(税別)とした。
取材前、近くの小売店で198円(税別)で売られていたので購入。仕事仲間と食べてみた。「エッセルの先入観とは違うおいしさ」という声が上がった。筆者は「色白がウリだった人が、トロピカルなウェアをまとった」感を持った。
同シリーズの定番フレーバー「苺ショートケーキ」も、同時期にリニューアル発売されたが、シリーズ名のとおり「スイーツ」を意識した商品だ。松野氏の視線もアイス市場を見ながら、スイーツ市場を意識しているようだ。
エッセルは、2015年に「メーカー希望小売価格を120円から130円に改定しても数量が落ちなかった」。同年は多くの競合他社が値上げに踏み切ったが、消費量は落ちず、業界では「消費者に値上げが認められた」と受け止められた。今回の200円を超えるアイスは、家庭用アイスとしては高級品だが、ケーキなどのスイーツとしては割安感もある。
定番品(既存事業)が好調なうちに、新商品(新規事業)で上乗せを図るのはビジネスの王道だ。春夏らしい商品と価格帯を、消費者がどう受け入れるかも見続けたい。
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。