売り上げ減が続いていたが、「アイス総選挙」後に再ブレイク

2018年7月8日、「アイス総選挙」というテレビ番組が放送された(テレビ朝日系)。“国民1万人がガチで投票”とうたった上で、圧倒的1位を獲得したのが「明治 エッセルスーパーカップ」の「超バニラ」だった。獲得ポイントは5万ポイント超、2位以下に2万ポイントもの差をつけた。単なる情報番組といえばそうだが、ブランドにとっては救世主だった。

株式会社 明治 マーケティング本部・フローズンデザートマーケティング部 フローズンデザートグループの松野友彦氏=4月10日

「実はそれまで、明治 エッセルスーパーカップ全体の売り上げが前年を下回る月が続きました。当部の事業で屋台骨を支えるブランドなので、危機感が漂っていたのです。それが番組放送後は注文が殺到し、それ以降、前年を大幅クリアする状況が続いています」

マーケティングを担当する松野友彦氏(株式会社明治 マーケティング本部・フローズンデザートマーケティング部 フローズンデザートグループ)は、こう明かす。番組のスタジオ収録に参加した松野氏にとっても、勝利の美酒を注がれたような瞬間だった。

ラクトアイスなのに「バニラの王道」

「明治 エッセルスーパーカップ」が発売されたのは1994年で、まもなく誕生25年を迎える。商品パッケージには、白いバニラアイスに青の波(ブルーウェーブ)を配置。圧倒的に強いブランドなので、一目見て「エッセル」と分かる視覚性だが、実は昭和の高度成長期に大人気だった「雪印バニラブルーアイス」以来、白と青はバニラアイスの伝統配色といえる。

それとともに、筆者が興味を持ったのは「バニラの王道」の6文字だ。2005年から掲げているそうだが、「ラクトアイス」のスーパーカップが主張するのが面白い。

実は“アイス”商品は、日本では乳固形分や乳脂肪分によって以下の4種類に分けられる。

(1)「アイスクリーム」(乳固形分15%以上、うち乳脂肪分8%以上)
(2)「アイスミルク」(乳固形分10%以上、乳脂肪分3%以上)
(3)「ラクトアイス」(乳固形分3%以上、乳脂肪分は問わず)
(4)「氷菓」(上記以外)

「明治 エッセルスーパーカップ」や「パピコ」は、(3)のラクトアイス。3位「パルム」は、(1)のアイスクリームに属する。4位「モナカジャンボシリーズ」(森永製菓)は、(2)のアイスミルクだ。商品単価は低いが、年間販売本数は圧倒的に多い「ガリガリ君」(赤城乳業)は、(4)の氷菓となる。

近年の調査データでは(1)~(4)それぞれが伸長傾向にある。つまり、消費者は種類別を気にせず“アイス”を楽しんでいるのだ。