「A・B・C同時」よりも、「一点集中×3」が重要

忙しいときは歩きながらメールチェックをしたくなるものですが、結論をいえば、打ち終わってから歩いたほうが早く駅につく。転倒や事故のリスクも考えると、なおさら歩きスマホは効率がいいとはいえません。

マルチタスクがストレスになりやすいのはデジタル機器を駆使しているとき。家事などでも複数のことを同時並行で進めますが、脳への影響を考えると、スマホなどのデジタル機器を使って進めるマルチタスクのほうが、受けるストレスは格段に大きくなっていきます。さらに、このようなマルチタスクは常態化しやすいことも特徴です。

マルチタスクでは、AからBへ、BからCへと行ったりきたりすることも、効率が悪い。まずAという活動を止めるのにエネルギーが必要ですし、AからBへと切り替える時間、アイドリングのタイムロスも生まれます。BからCに行くか、Aに戻るかという判断にも脳はリソースを割かないとなりません。そして、切り替えが頻繁になるほど、ストレスホルモンの分泌は増えていきます。

一方で、複雑な社会活動は脳を鍛える効果もあることから、必要なのは、いわば戦略的なマルチタスク。つまりA・B・Cを同時に進めるのではなく、いかに「一点集中×3」で終わらせるかが重要なのです。いかに一点集中で1つずつ仕事を片付けていくかの計画をたて、労力を割り当てる。プロジェクトの段取りをつけることなどは、より戦略的なマルチタスクといえるでしょう。

枝川義邦
脳神経科学者
早稲田大学研究戦略センター教授。東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了。早稲田大学ビジネススクールでMBA取得。
(構成=伊藤達也 写真=iStock.com)
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