「他の乗客の読書灯のせいで寝られない。注意してほしい」などのご要望があった場合は、特に慎重に対応します。お休みになるのも読書をされるのも、お客様の自由。ご要望をそのまま受け取るのではなく、たとえばこのケースなら双方の居住性を守るため、光が漏れないよう毛布で仕切りを作るなど、最大限の対応をしたうえで「あちらのお客様も読書をお楽しみになっていらっしゃいますので、もう少しお待ちいただけませんか」とお伝えします。ご要望がおありのお客様だけを特別扱いしないのも公平感を保つために大切です。

オリンピック・パラリンピックに向けて増えているのが海外からのお客様です。外国人のお客様の中には「日本人のほうが手厚いサービスを受けているのではないか」と感じてしまう方もいます。日本人のお客様だけにお声がけする(ように見える)ことがないよう、常に「見られている」という意識を持って接遇します。

私のフライト経験も1万数千時間を超えました。これからも、さまざまな方々との触れ合いから得た「気づき」を多くのお客様に還元できるよう、五感を研ぎ澄ませていきたいと思います。

私の必殺トーク術:「あの客を注意して」には慎重な対応を

小松原由衣
ANAセールス 東京本店法人販売室
2005年全日本空輸に入社。15年「OMOTENASHIの達人コンテスト」で優勝。以後、VIPフライトも担当。18年4月より出向し、現職。
(構成=大高志帆 撮影=村上庄吾)
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