被験者が夢の内容を説明した言葉を記録し、「怖い」「襲われる」「逃げよう」などの不安語を抽出して数をカウントしていくと、高想起群は低想起群に比べて不安語の数が多いことがわかりました(図参照)。

夢には、起きている間に抱えている問題を整理したり、解決のヒントを見つけようとしたりする機能があるのではないかと考えられています。不安度の高い人は、起きている間にいろいろなことに不安を感じていて、眠っている間に脳の中にストックした記憶を掘り起こしながら、その問題を解決する糸口を見つけ出そうとしているのでしょう。

また、不安度の高い人は自分の心と体の状態にも敏感です。自分が見た夢について考えがちになってしまうのも、不安度の高い人が夢をよく覚えている一因なのでしょう。

人に話せば、悩みの本質が見えてくる

悪夢への対処方法はいくつかあります。まずは、自分の生活の中の出来事を振り返って悪夢の元になっているものを類推し、現実の生活でのトラブルに対処すること。ただし、離婚調停など、自分だけではすぐに解決できない場合もあります。このように、ストレスの原因が長引く場合、解決するまで悪夢に耐え続けるというのも酷な話です。そこで、ひとまず短期的に見て、ここまで対処すると決めるなど、段階的な対処の計画を立てるのも有効でしょう。

次に効果的なのが、見た夢の内容や、あるいは現実に抱えている問題を人に話すこと。人に話すことは、客観化してストレス要因や悪夢を見た理由を分析し、さらには悪夢の要因となった現実の問題を解決しやすくする効果があります。

自分ではストレス要因を自覚していないことも多いですから、まず夢の内容を人に話してみるのがおすすめです。仮に自分で原因を自覚していたとしても「実は私、今、裁判を抱えていて」など、重たい話は人に言いにくかったりしますよね。でも、「こんな変な夢を見ました」と切り出せば、少し話しやすくなる気がしませんか?

私自身がカウンセラーとしてクライアントさんと接していても、いきなり本題からは入りにくい場合に、まずは夢の内容を話してもらうことがあります。現実のことではないから本人も話しやすくなって、饒舌になっていくうちに、ふと、本音を漏らしてしまう。そういう、いい効果があるのです。